敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 おずおずと背中に腕を回すと、隼人さんが身動ぎし、至近距離で私を見つめてきた。

「未希が望むのなら、喜んで」

 目だけで頷くと、隼人さんは再度私を腕の中に閉じ込める。たった数日会っていなかっただけなのに、ものすごく長く感じた。

 今日、張りきっていたのは仕事だからという理由だけじゃない。私自身が隼人さんに会うのをすごく楽しみにしていた。会いたかった。

 ジャケットを脱いでネクタイを外した隼人さんとベッドに横になり、彼と向き合う。時刻は午後八時半過ぎで、彼は夕飯を済ませてから帰って来たらしい。

「ごめんなさい、お疲れのところ」

「未希は謝ってばかりだな」

 私の謝罪に隼人さんは苦笑する。彼の大きな手が私の頭に伸びてきて、ゆっくりと撫でた。

「正直、頼ってくれて嬉しいんだ。未希からの連絡を最初に見たとき、てっきりマンションから出て行ったのかと思った」

「え?」

 まさか隼人さんがそんなふうに受け取っていたとは思わず、目を見張る。たしかに休みが欲しいとは書いたけれど、誤解を与えてしまう書き方だっただろうか。

 私の顔色を読んだのか、隼人さんはなんとなく気まずそうな表情になる。

「出張前に未希を傷つけたからな。急いで帰ってきたら、部屋は暗いし未希の気配もないから血の気が引いたよ」

 傷つけたとはなんのことだろうかと思ったが、すぐに理解する。映画を観ようとして彼とソファに並び、甘い雰囲気になってキスをしたものの土壇場での私の態度が問題で、その先には進まなかったのだ。

「あ、あれは……」
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