敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
「それがね、噂で聞いたんだけれど直子さんは元々それぞれのご両親の勧めもあって進藤さんと結婚前提に何度もお会いしていたのに、進藤さんの方から関係の解消を申し出られたそうじゃない」
母の告げた内容は事実だ。けれど話がつながらない。
「ま、待って。直子さんは徳永通商の息子さんと結婚するって……」
混乱しながら徳永さんの存在を口にする。遊園地で会ったとき、徳永さんの口から、はっきりと水戸さんとの婚約の旨を告げられた。
「あら、そこまで知っていたの? でもね、それは進藤さんから別れを告げられたからでしょ? 直子さんは本当は進藤さんと結婚したかったはずよ」
「それは……水戸さん本人がそう言ったの?」
震える声で母に尋ねる。
「さぁ? でも徳永さんの積極的なアプローチで結婚を決めたって聞いたから直子さんは押しに負けたんじゃないかしら? 水戸社長も早く直子さんに結婚してほしかったみたいだし」
母は軽くカップの縁に口づけ、ゆるやかにソーサーにカップを戻す。続けて私を真っすぐ見据えてきた。
「仮に直子さんが進藤さんにまだ未練があるのだとしたら、純粋に応援してあげたいな、と思ったの。彼女の望みを叶えたら、社長も私に一目置いてくれるだろうから」
目を爛々とさせた母の本音が透けて見えた。母は水戸さんのことを思っているわけでも、寄り添っているわけでもない。すべては自分の出世のために勝手に動こうとしているだけだ。娘を離婚させたとしても――。
母の告げた内容は事実だ。けれど話がつながらない。
「ま、待って。直子さんは徳永通商の息子さんと結婚するって……」
混乱しながら徳永さんの存在を口にする。遊園地で会ったとき、徳永さんの口から、はっきりと水戸さんとの婚約の旨を告げられた。
「あら、そこまで知っていたの? でもね、それは進藤さんから別れを告げられたからでしょ? 直子さんは本当は進藤さんと結婚したかったはずよ」
「それは……水戸さん本人がそう言ったの?」
震える声で母に尋ねる。
「さぁ? でも徳永さんの積極的なアプローチで結婚を決めたって聞いたから直子さんは押しに負けたんじゃないかしら? 水戸社長も早く直子さんに結婚してほしかったみたいだし」
母は軽くカップの縁に口づけ、ゆるやかにソーサーにカップを戻す。続けて私を真っすぐ見据えてきた。
「仮に直子さんが進藤さんにまだ未練があるのだとしたら、純粋に応援してあげたいな、と思ったの。彼女の望みを叶えたら、社長も私に一目置いてくれるだろうから」
目を爛々とさせた母の本音が透けて見えた。母は水戸さんのことを思っているわけでも、寄り添っているわけでもない。すべては自分の出世のために勝手に動こうとしているだけだ。娘を離婚させたとしても――。