敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 余計なことはしないとずっと誓ってきた。迷惑をかけたくない。重荷になりたくない。

 けれど、甘えたり頼ったり、失敗しても受け止めてくれる相手に出会えた。隼人さんが私に寄り添ってくれたように、私も隼人さんに寄りかかってもらえる存在になりたい。

「その代わり、隼人さんに私と結婚してよかったって思ってもらえるように、もっと家事も妻としても頑張ります。隼人さんに相応しくなれるように。だから……」

 そこで言いよどむ。胸が痛くて声がうまく出せない。

 隼人さんはどう思っただろう。割り切れないなら一緒にいられないと返されるのかな?

 隼人さんの結婚観は変わらないかもしれない。状況に迫られて結婚相手として決めた私ではなく、もしかしたら今後隼人さん自身が結婚したいと思う人が現れる可能性だってある。

 頭がぐるぐるして心臓が口から飛び出しそうだ。ぎゅっと手のひらを握り彼からの反応を待っていると、不意に力強く抱きしめられた。

「いい。未希はそのままでいいんだ。頑張る必要なんてない。相応しいとか、もうたくさんなんだ」

 最後の吐き捨てるような言い方に私は目を見張るが、隼人さんの勢いは止まらない。

「でも俺は、いつも相手との利害や損得を考えて表面的な人間関係しか築いてこられなかった」

 打って変わって弱々しく告げた隼人さんに、私は身動ぎしてそっと顔を上げる。すると寂しそうな表情をした彼が視界に映る。
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