敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 肌寒さに身震いし、目を閉じたまま無意識に近くにある存在に擦り寄る。すると抱きしめられる感覚があり、安心感が増した。

 夢見心地で受け入れていたら額に柔らかい感触があり、続けて瞼の上、頬へと移っていく。続けて唇に触れられた際、私は反射的に目を開けた。

「おはよう、未希」

 一瞬、状況が理解できずに頭がフリーズした。すぐそばに隼人さんの整った顔があり、そっと唇が重ねられる。

 そこで昨夜の件を思い出し、完全に覚醒する。

「おはよう、ございます」

 寝起き特有の掠れた声しか出なかったのが恥ずかしい。今の私はなにも身にまとっておらず、隼人さんの腕の中にいた。

 遮光カーテンで覆われた部屋はまだ薄暗いが、おそらく太陽はもう上っているだろう。そこで思考が別角度に移る。

「朝ごはん!っわ」

 上半身を起こそうとしたが、すぐに隼人さんの腕の中に閉じ込められた。

「いいから」

「で、ですが」

 よく見ると隼人さんはシャツを羽織っていて、自分だけ裸なのがますます心許ない。そうなると昨日の甘い夜が思い出され、頬が熱くなる。

「俺が用意するから未希はもう少しゆっくりしているといい」

 せめてなにか着たいと思っていたら、隼人さんの提案に目を剥いた。

「そういうわけにはいきませんよ。それは私の仕事で」

 続きはキスで口を塞がれ声にならない。さりげなく彼の手が私の肌を撫ではじめた。

「だ、め」

 キスの合間に訴えかけるが、隼人さんの手は止まらない。昨晩の熱が呼び起こされ、胸が苦しくなる。
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