敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
結婚に対しても己のしっかりした考えを持ち、会社を急成長させた敏腕社長だが、両親には敵わないらしい。
家のすぐそばに差し掛かり、車の停めやすいところを指示する。送ってもらったお礼を言い、シートベルトを外して改めて社長に向き直る。
「事情はわかりました。進藤さまがお家で家事をされていると見えるように、影武者となって精いっぱいサポートしていきますね」
笑顔を向け、わざとおどけて言ってみる。すると社長がふっと口角を上げた。
「頼むよ。優秀なハウスキーパーさん」
さりげなく頭に手を置かれ、手のひらの感触に体温が一気に上昇しそうになった。
「今日はありがとうございました。また次回お伺いする際は連絡を入れますね」
私は慌ててドアを開け、外に出る。冷たい空気に身震いしそうになったが、挨拶が先だ。
「おやすみなさい、失礼します」
頭を下げてからドアを閉め、踵を返す。
これくらいのことであからさまな態度をとってどうするのか。女子高生でもあるまいし。余裕のない自分が情けない。こうやって異性に慣れていないから痛い目を見たのに……。
沈みそうになる気持ちを振り払い、息を吐く。白く染まった空気はさっと夜に溶けた。
今日、社長と会って彼との距離は確実に縮められた。それは依頼主との間に必要な信頼関係だ。それ以上でもそれ以下でもない。
仕事なのだから、社長のために頑張ろうと改めて決意する。その前向きな気持ちにホッとした。仕事という明確な理由があるのが、今の私にはものすごくありがたかったから。
家のすぐそばに差し掛かり、車の停めやすいところを指示する。送ってもらったお礼を言い、シートベルトを外して改めて社長に向き直る。
「事情はわかりました。進藤さまがお家で家事をされていると見えるように、影武者となって精いっぱいサポートしていきますね」
笑顔を向け、わざとおどけて言ってみる。すると社長がふっと口角を上げた。
「頼むよ。優秀なハウスキーパーさん」
さりげなく頭に手を置かれ、手のひらの感触に体温が一気に上昇しそうになった。
「今日はありがとうございました。また次回お伺いする際は連絡を入れますね」
私は慌ててドアを開け、外に出る。冷たい空気に身震いしそうになったが、挨拶が先だ。
「おやすみなさい、失礼します」
頭を下げてからドアを閉め、踵を返す。
これくらいのことであからさまな態度をとってどうするのか。女子高生でもあるまいし。余裕のない自分が情けない。こうやって異性に慣れていないから痛い目を見たのに……。
沈みそうになる気持ちを振り払い、息を吐く。白く染まった空気はさっと夜に溶けた。
今日、社長と会って彼との距離は確実に縮められた。それは依頼主との間に必要な信頼関係だ。それ以上でもそれ以下でもない。
仕事なのだから、社長のために頑張ろうと改めて決意する。その前向きな気持ちにホッとした。仕事という明確な理由があるのが、今の私にはものすごくありがたかったから。