敏腕社長は雇われ妻を愛しすぎている~契約結婚なのに心ごと奪われました~
 社長の下に通いはじめ、二週間が経過しようとしている。相変わらず寒さの厳しい日々が続き、気づけばもうすぐ二月になろうとしていた。

 当初は彼が仕事を終えて帰宅する前に、私は一通りの家事を済ませてマンションをあとにし、あまり顔を合わせない予定だった。

 けれど私がマンションを訪れる際、なぜか彼は在宅していることが多かった。もちろん毎回とはいかず、入れ違いになるときもある。

 それでも彼が、極力私と顔を合わせるように調整しているのが伝わってくる。信用されていないのかと不安になったりもしたが、いつも会うと労いの言葉や用意していた料理の感想を言ってくれるので、元々まめな性格なのかもしれない。

 契約社員とはいえ私がシャッツィで働いていることも大きく影響しているのだろう。業務のあと、彼に車で送られるところまでがセットになりつつあり、このままでのいいのかと頭を悩ませているのも事実だ。

 深入りは禁物だし線引きはきちんとしないと。

 けれど彼が私を自社の社員だから信頼しているのと同じで、私も彼がシャッツィの社長だと知っているから、いつもの依頼主より気を許してしまっている気がする。

 とはいえ、シャッツィで仕事をしていても、社長と会社で会う機会などない。それほど彼は忙しく雲の上のような存在だ。家事代行業をしなければ、こちらが一方的に知っているだけで、社長と口を利くどころか顔を合わせることさえなかっただろう。

 そこで考えを変える。違う、シャッツィでの仕事と紅の仕事では社長とのかかわり方はまったく異なる。混同しちゃだめ。
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