妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「どうしても無理か?」
「ええ、無理です」

 国王様は、私に複雑な表情で質問をしてきた。
 彼からすれば、これは死活問題であるだろう。
 このドルマニア王国は、聖女が大樹に魔力を注いで栄えた国だ。大樹に魔力を注ぐ聖女が不在となれば、今までのような豊作は望めない。

「……仕方ないことか」

 だが、国王様は項垂れながらもそれを受け入れた。
 それは恐らく、私にした仕打ちを反省しているからだろう。

「……という訳です。アグナヴァン様」
「む? あ、ああ……」

 そこで私は、アグナヴァン様の方を見た。
 彼は先程から私の方を心配そうな瞳で見つめていた。私がこちらの国に残らないか、それが心配だったのだろう。
 今の彼は、笑みを浮かべている。私が彼の元に留まることに対して、アグナヴァン様も喜んでくれているのだろう。

「アグナヴァン殿下、あなたにもお礼を言わなければなりませんな。今回の件は、ドルマニア王国として、スウェンド王国に感謝を表明しましょう」
「え、ええ……」

 国王様から話が振られたので、アグナヴァン様の意識はそちらに集中した。
 こうして、二人の話は国と国との話に移っていくのだった。
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