妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「それで、ですね……その改めてアグナヴァン様に言いたいことあるのです」
「それはお礼ではないことなのか?」
「ええ、そうですね……」

 私は自然と食事の手を止めていた。
 それを見たからのなのか、アグナヴァン様もその手を止めてくれる。
 なんというか、いささかタイミングを見誤ったような気がする。もう少し、いい場があったのではないだろうか。そう思わなくはない。
 とはいえ、私とアグナヴァン様が一日の間で接することができるのは、この場くらいだ。お互い忙しい身であるため、仕方ないと思うことにしよう。

「……私は、あなたの婚約者となれたことを心から嬉しく思っています。あなたのような方に愛していただけているという現状は、私にとってとても幸福なことです」
「む……そうか、そう言ってもらえるのはこちらとしても嬉しい限りだ」
「……はっきりと言って、私はあなたに心惹かれています。順番としては、あべこべになってしまっているかもしれませんが、そう思っているのです」
「……ありがとう」
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