妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 エルムルナ様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 私にはわからないことではあるが、彼女は私が無罪であるという確証を持っているのだ。それは恐らく、どちらの国でも数少ない存在であるだろう。もしかしたら、彼女くらいしかいないかもしれない。
 とりあえず、私は安心する。彼女に信頼してもらえているなら、それはとても嬉しいことだ。

「故に、私はあなたのことを信頼しています。かつて会った素晴らしい聖女が、補佐になってくれるというのは、とても心強いことです」
「そう思っていただけているのは、とても嬉しいです」
「あなたには、大きな才能があります。ドルマニア王国は、大きな失敗をしたといえるでしょう。あなたを追放するなんて……おっと」

 笑顔で私を褒めてくれていたエルムルナ様は、一瞬でその表情を変えた。
 彼女の表情は、険しい。一体、どうしたのだろうか。
 私への評価が間違っていたからといって、こんな表情になるとは思えない。恐らく、彼女は何かしら重要なことに気づいたのだろう。
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