妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 エルムルナ様は、かなり険しい顔をしていた。
 やはり、闇の魔力が国中に伝わることは、恐ろしいことのようだ。ドルマニア王国が、滅亡しかねない。

「私としたことが、それ程に重要なことを見落としていたとは……」
「仕方ありませんよ。大樹に魔力を伝えるのは、ドルマニア王国特有のものなのですから」
「ですが、気がつけるのは私だけでした……」

 エルムルナ様は、その事実に気づいていなかったことを後悔しているようだ。
 だが、それは彼女の責任という訳ではない。そもそも、他国の事柄であるのだから、そんなに責任を感じる必要はないだろう。

「エルムルナ様は、スウェンド王国の人間です。ドルマニア王国の事柄で、あなたが責任を負うべきことなんて、何もありません」
「……理論としてはそうなのでしょう。ですが、心情としてはそうもいかないのです」
「それは……そうかもしれませんが」
「……ですが、落ち込んでいる場合でもありませんね。何か対策を考えるべきです」
「対策、ですか……」
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