妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「言いにくいことではありませんが……割り切ることも、時には必要だと思います。特に、あなたは国を背負っているのですから」
「……ああ」

 アグナヴァン様は、ゆっくりと天を仰いだ。
 その表情は明るくない。やはり、心を痛めているのだろう。
 だが、その顔はすぐに引き締まった。そこには、決意の色が見える。

「仕方ないことだと割り切ることも確かに必要だ。ふっ……俺も、王族としてはまだまだのようだな」
「いえ、アグナヴァン様は立派な人だと思いますよ」

 アグナヴァン様には、弱々しい一面もあるようだ。
 それを支えていくのが、私の役割なのだろう。私は、それをなんとなく悟っていた。

「……結果的ではあるが、あなたの冤罪は思っていた以上に早く晴らされそうだ。ホーネリアの正体は、もうすぐ判明することだろう。そうなれば、自ずと彼女の悪事も暴かれる」
「……そうですね。彼女はきっと、闇の魔法を行使し続けているはずです。私の魔力を奪えなくなったなら、他の人から魔力を奪う以外に聖女を続ける方法はありません。ですから、被害者も増えているのではないかというのが今の私の見立てです」
「なるほど、もしもそうなっているなら、被害者には申し訳ないが、こちらとしては都合がいいとさえいえる」

 その後も、私はアグナヴァン様と色々と話し合うのだった。
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