神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「えっ…。えっ…。…え?」
言葉を失うシルナである。
その気持ちはよく分かる。
「い、いろり…!帰ってきてたのか…!?」
こいつ、今まで何処にいたんだ?
いや待て、その前にもう一つ。
「マシュリは?マシュリは何処に行った?」
さっきまで、マシュリもそこにいたよな?
まるでマシュリといろりが入れ替わるように、ソファに座ってんだが。
マシュリは何処だよ?
「え、何?僕がどうかした?」
マシュリの声がした。
あ、いたんだ…。え?でも何処に…。
姿が見えないんだが…?
「ここだよ、羽久・グラスフィア」
「え、ここ…ここって…」
声がした方に視線を下げると。
ソファに座ったいろりが、こちらをじっと見上げていた。
…。
…なぁ。
…今、この猫…喋らなかった?
俺疲れてるんだろうか。猫が喋るなんて。
ましてや、その猫がマシュリだったなんて。
多分疲れて、頭が幻覚を見せているんだろう。働き過ぎだな。
…しかし。
「い、いろりちゃんが…喋った!?」
シルナもびっくりしてるから、どうやらこれは俺だけが見ている幻覚ではないようだ。
「ま、まさか…いろりちゃんって…マシュリさんだったの?」
「化け猫ですね」
天音とイレースが、続けてそう言った。
…え、マジで?
イーニシュフェルト魔導学院のマスコットキャラ、いろりが…マシュリ?
それってどういうこと?
「…お前…いろり?いろりだよな?」
「うん」
やっぱり喋ってるぞ、この猫。
イレースじゃないけど、化け猫だ。
「…マシュリは?マシュリは何処に行った?」
「ここにいるよ」
何処だよ。
「…いろり、お前は…マシュリなのか?」
「逆だよ。マシュリがいろりなんだよ」
「…」
「…よっ、と」
いろりはひょいっ、とベッドから飛び降り、器用にくるりと一回転。
ぽふん、と音がして。
メタモルフォーゼとばかりに、いろりはマシュリに姿を変えた。
「これで分かった?」
「…」
…何だろう。
人間、あまりにびっくりすると…逆に冷静になるって言うか。
思ってるほど狼狽えないもんだな。
俺だけかもしれないが。
これでも、頭の中はパニックになってるんだぞ。
いろりがマシュリで、マシュリがいろりで…それで何だっけ?
うん。よく分からなくなってきたから、もう考えるのやめるか。
「羽久さん、それを思考停止って言うんですよ」
ナジュが俺の心を読んで、そう言った。
うるせぇ。
俺はお前みたいにな、心を読んで事情を把握するなんて芸当は出来ないんだよ。
むしろお前、知ってるなら、俺の代わりにこれはどういうことなのか説明してくれ。
本当。訳分かんないから。俺。
言葉を失うシルナである。
その気持ちはよく分かる。
「い、いろり…!帰ってきてたのか…!?」
こいつ、今まで何処にいたんだ?
いや待て、その前にもう一つ。
「マシュリは?マシュリは何処に行った?」
さっきまで、マシュリもそこにいたよな?
まるでマシュリといろりが入れ替わるように、ソファに座ってんだが。
マシュリは何処だよ?
「え、何?僕がどうかした?」
マシュリの声がした。
あ、いたんだ…。え?でも何処に…。
姿が見えないんだが…?
「ここだよ、羽久・グラスフィア」
「え、ここ…ここって…」
声がした方に視線を下げると。
ソファに座ったいろりが、こちらをじっと見上げていた。
…。
…なぁ。
…今、この猫…喋らなかった?
俺疲れてるんだろうか。猫が喋るなんて。
ましてや、その猫がマシュリだったなんて。
多分疲れて、頭が幻覚を見せているんだろう。働き過ぎだな。
…しかし。
「い、いろりちゃんが…喋った!?」
シルナもびっくりしてるから、どうやらこれは俺だけが見ている幻覚ではないようだ。
「ま、まさか…いろりちゃんって…マシュリさんだったの?」
「化け猫ですね」
天音とイレースが、続けてそう言った。
…え、マジで?
イーニシュフェルト魔導学院のマスコットキャラ、いろりが…マシュリ?
それってどういうこと?
「…お前…いろり?いろりだよな?」
「うん」
やっぱり喋ってるぞ、この猫。
イレースじゃないけど、化け猫だ。
「…マシュリは?マシュリは何処に行った?」
「ここにいるよ」
何処だよ。
「…いろり、お前は…マシュリなのか?」
「逆だよ。マシュリがいろりなんだよ」
「…」
「…よっ、と」
いろりはひょいっ、とベッドから飛び降り、器用にくるりと一回転。
ぽふん、と音がして。
メタモルフォーゼとばかりに、いろりはマシュリに姿を変えた。
「これで分かった?」
「…」
…何だろう。
人間、あまりにびっくりすると…逆に冷静になるって言うか。
思ってるほど狼狽えないもんだな。
俺だけかもしれないが。
これでも、頭の中はパニックになってるんだぞ。
いろりがマシュリで、マシュリがいろりで…それで何だっけ?
うん。よく分からなくなってきたから、もう考えるのやめるか。
「羽久さん、それを思考停止って言うんですよ」
ナジュが俺の心を読んで、そう言った。
うるせぇ。
俺はお前みたいにな、心を読んで事情を把握するなんて芸当は出来ないんだよ。
むしろお前、知ってるなら、俺の代わりにこれはどういうことなのか説明してくれ。
本当。訳分かんないから。俺。