再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─
外で雨が降り乱れる夜、聖女セーラの私室では爆音の泣き声が響き渡っていた。
「ギャアアアア!ギャアアアア!」
「子育てって、聞いてたけど、マジでキツい……」
夜な夜な怪獣よりも激しく泣き叫ぶ赤ちゃんに、セーラは振り回されていた。
赤ちゃんにできる限りの衣食住を満たしてあげても、赤ちゃんは全く泣き止まない。抱いて揺らしてあやしても泣き続ける。
「グギァヤアアアア!!」
何が不満なのか全く分からないが、とにかく彼が泣きたいことだけはわかった。
「わかったから、泣き止んで……」
「ギキュァアアア!」
セーラも一緒に泣きそうになりながら夜が過ぎて彼が眠くなることだけを祈っていた。
外では雨が容赦なくザーザー降っていて、赤ちゃんは泣き止まない。
大降りの雨は心細くなるセイラの涙をますます誘った。
(私に子育てなんてできないのかも)