静穏総長も、時には激しく愛したい
「ま、待って……奏さん!」
止めようと叫んだ声は、この場にいる何十人もの雄たけびによって、瞬時にかき消される。
「――来いよ」
「おおぉぉォォォ!!」
奏さんに向かって来る敵は、数知れない。だけど奏さんは、確実に私を守り、戦っていた。
といっても、ここは薄暗い建物の中。
視界が悪くと、危険な物が付け入る隙が、簡単に出来てしまう。
例えば、ナイフ――
「終わりだ、三位!!」
「!?」
夕暮の仲間が、ナイフの切っ先を、奏さんに向ける。
私が気づいた時は、奏さんの近くまで迫っていた。
「ダメ、奏さん――!!」
だけど、その時。
ナイフよりも先に、奏さんに近づく存在があった。
それは、
「総長!!」
睦さん。
人間とは思えない速さで奏さんに近づいたかと思えば、そのままナイフから奏さんを守る「盾」と化す。