静穏総長も、時には激しく愛したい
「ば――、やめろ、睦!」
「っっ!」
必死に奏さんが、睦さんをどかそうとしているのに、睦さんはしがみついて離れない。
このままでは、睦さんが刺されてしまう。
そうなると奏さんは、悲しむに決まってる――
「……させないっ!」
イヤな未来が頭をかすめた時。
既に私の手は、地面に転がっていた鉄パイプを掴んでいた。
そして、
「ダメー!!!!」
キンッ
金属同士が衝突する高い音が、建物の天井まで閃光のように速く突き抜ける。
見ると、私が咄嗟に出した鉄パイプが、ナイフの刃に当たっていた。ナイフは今や手から離れ、力なく地面に転がっている。
「はぁ、はぁ……。
わぁ、はは。出来ちゃった……」
ビリ、ビリ……
ナイフを跳ね飛ばした衝撃が、パイプを伝って手に響く。しばらく経っても、なかなか消えない。
それだけ勢いのあったナイフから、私が二人を守れたなんて……。澄に、感謝をしないといけない。
だって澄は――