冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 優しい手がその涙を拭ってくれる。視線をあげると、少し照れたような左京の顔があった。

「もうひとつ言うとな、蛍に頼ってもらえることが俺は嬉しい。だから、いくらでもすがっていい」

 ありがとうと伝えたかったのに、胸がいっぱいで言葉にならなかった。

 それから数日後。

 夜の入浴を終えた蛍は部屋の照明を少し落として、リラックスした時間を過ごしていた。手のひらにお気に入りの美容液をトロリと垂らし、顔になじませていく。

 蛍と入れ替わりで左京は今風呂に入っている。寝る前に彼と他愛ない話をする時間が蛍はすごく好きだ。最後のクリームを塗ったところでカチャリと扉の開く音がした。

 タオルで髪をワシャワシャとしながら、左京が部屋に入ってきた。まだ湿っている前髪やラフなTシャツからのぞく鎖骨から色香があふれている。

 左京はストンと蛍の隣に腰をおろす。同居を始めた頃にはかなり空いていた距離も今ではほぼなくなって、肩が触れ合う。

「なんか、いい匂いがするな」
「え?」
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