冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 もしかして照れているのだろうか。彼にしては歯切れが悪いし、視線が泳いでいた。

「私に、ですか?」
「あぁ」
「も、もらえないです。料理はボディガードのお礼のつもりですし」

 小さな箱を彼に押し返そうとするけれど、その手をギュッと固く握られて蛍は硬直する。触れている彼の手がすごく熱い。

「どうしても迷惑。っていうんじゃなければ、頼むから受け取ってくれ」

 懇願するような左京の声。そんなふうに言われたら断れない。

(だって迷惑だなんて思ってない。すごく嬉しい)

「じゃ、じゃあ、ありがとうございます」

 そう言ったら、左京は心から安堵したようにふぅと表情を緩めた。女性にプレゼントなんて慣れていそうな彼の意外すぎる様子に、温かな気持ちが込みあげる。

「開けてもいいですか?」
「あぁ」

 そっとリボンをほどいて箱を開ける。中身はまた箱。ベルベットのような生地で作られたそれはリングケースだった。

(え、指輪?)

 蓋を開けた蛍は目を丸くした。キラキラと輝くダイヤがぐるりと一周、エタニティリングと呼ばれるデザインのものだ。

「こ、こんな高級そうなもの……」
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