冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 受け取ってしまったことを少し後悔した。どう考えても自分がもらうべき品ではない。

「結婚指輪代わりにつけてくれないか?」
「でも指輪や旅行はなしって」

 結婚を決めたときにそう結論を出したはずだ。

「指輪くらいしておかないと偽装結婚を見破られる恐れがあるだろう」

 言ってから、彼は苦笑して首を左右に振った。

「いや、ここは正直になるべきか」

 弱ったような笑顔を蛍に向ける。

「ただ、俺が蛍になにかプレゼントをしたかっただけだ」
「私にプレゼントを?」

 蛍は馬鹿みたいにオウム返しにつぶやいた。

「それを選んだ理由はふたつ。ひとつは君に似合うだろうと思ったから。もうひとつは」

 熱っぽい視線に射貫かれて、心臓が壊れてしまいそうにドキドキと高鳴った。

「蛍を誰にも奪われたくないからだ。俺の妻だという証を身に着けていてほしい」

 左京はそっと指輪を取って、蛍の左手の薬指にはめる。彼はそのまま蛍の手を持ちあげ、指先の唇を押し当てた。

「思ったとおり。似合うよ」

 ドキドキが加速していく。

『蛍を誰にも奪われたくない』
『俺の妻だという証を』
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