冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「蛍さん。大丈夫ですか?」

 呆然としていた蛍は晋也の声で我に返る。

「あっ、はい。急なお話だったのでびっくりしてしまって」

 晋也は少し逡巡してから口を開く。

「蛍さんの安全を第一に考えると、私も奥さまに賛成です」
「如月さんも?」

 晋也は力強くうなずく。

「赤霧会の狙いは蛍さんご自身ではなく、あくまでも海堂先生です。蛍さんを追いかけて海外にまで出向くとは考えにくい」

 晋也の主張は一応の筋は通っていると思った。赤霧会は治郎の関係者に目をつけているだけなので、蛍でなくても代わりはいるだろう。

 実際、彼らが蛍以外にもターゲットを探しているという話は左京から聞いていた。

「でも、暴力団って海外にも仲間がいたりしそうだし……そういう心配はないんですか?」
「もちろんどこの国に滞在するかはきちんと考えます。たとえば、アメリカなんかは日本の暴力団員の入国を厳しく規制しているので安全性が高いかと」
「そうなんですね。だけど私にも仕事がありますし、菅井さんが納得してくれるかどうかも」

 左京はコマである自分が逃げるのを止めるだろうか。

 そこで晋也の眉がぴくりと動いた。

「それなんですが……」
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