冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 晋也は蛍の両肩に手を置き、真剣な顔を向けてきた。

「もしかしたら菅井さんをあまり信用しすぎないほうがいいかもしれません。芙由美さんの意見を聞いて私なりに調べてみたんですが、菅井左京という男はとても非情な人間でした」
「非情?」

 晋也は申し訳なさそうに軽く目を伏せる。

「頭脳明晰で優秀。その評判だけを信じて、海堂先生も私も蛍さんを安心して任せられると思ったのですが……どうも彼は出世のためなら平然と人を切り捨てる人間で悪い噂も多いようなんです」

 晋也が嘘をついているようには見えなかった。実際、左京にはそういう厳しい面があるのだろう。

(私のことも切り捨てるのかな?)

「そういうことも踏まえてよく考えてみてください」

 帰りは晋也がマンションまで送り届けてくれた。

 部屋に着いたのはもう深夜十二時近かったが、明かりはついていなかった。

(左京さんは朝帰りかもな)

 最近は蛍の護衛のために早く帰宅してくれるが、もともと官僚の朝帰りは珍しいものではないそうだ。朝方に一度帰宅して、着替えてまた出勤するらしい。

(そんなに睡眠不足で体調を崩さないといいけど)
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