冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「ちょっとした発表会もあるみたいなので、私が出られるレベルになったら観に来てくれますか?」
「もちろん」
「うたた寝は禁止ですよ」

 蛍が釘を刺すと彼は楽しそうに苦笑した。

「部屋はもう取ってあるから」

 食事を終えると左京が低い声でささやいた。このところ彼が多忙だったために一緒に夜を過ごすのは久しぶりで、その言葉だけですでにドキドキが止まらない。

(毎回、こんなふうになっていたら寿命が縮んでしまいそう)

 触れられるたび、キスを贈られるたびに痛いほどに胸が高鳴って、ちっとも慣れる気がしないのだ。

 最上階のスイートルーム。このホテルでもっとも高価な部屋とのことだ。

「わあ!」

 足を踏み入れた蛍は子どもみたいな感嘆の声をあげてしまった。

 そこに広がる光景がまるで一枚の絵画のように美しかったからだ。室内のゴージャスなインテリア、窓の外の夜景、うっとりと見入ってしまう。

「素敵なお部屋ですね」
「あぁ。蛍込みで完成する完璧な美だ」
「そ、それは言いすぎです」

 照れ隠しに蛍は彼の視線から逃れて部屋を見て回る。

「左京さん。バスルームがふたつもありますよ!」
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