冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 想定していなかったワードが出てきて蛍は面食らう。彼の獲物を狙う猛禽類のような眼差し、ヤクザでもチンピラでもないが遠くない存在という言葉。

「そういう意味だったんですね」
「しかも俺はつい最近まで組対(そたい)に在籍してたからな」
「組対?」
「警視庁に置かれている組織犯罪対策部のことですね」

 蛍の疑問に答えてくれたのは晋也だ。その名称のとおり、国際犯罪や暴力団絡みの事件など犯罪組織の関与が疑われる事件を担当する部のことらしい。

「インテリヤクザじゃなかったんだ」

 思わず漏れた蛍の本音に彼はクッと皮肉げな笑みを浮かべた。

「俺たちより、彼らのほうがお上品かもしれない」
「菅井さんは警察庁所属のキャリア官僚で、警視庁の組対には出向という形で在籍されていたそうです」

 晋也がそう補足した。

(警察官僚……ヤクザよりはマシかしら)

 とりあえず左京が関わってはいけない類の人間ではなかったことに少し安堵する。
< 45 / 219 >

この作品をシェア

pagetop