冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 もっとも政治家や官僚が決して正義の味方なんかじゃないことは、よくわかっているけれど。

 蛍はあらためて左京を見据えた。胸の前で腕を組み、椅子の背もたれにどっしりと体重を預けている。よく言えば堂々と、悪く言えば威圧的。警察のキャリア組はかぎられた選ばれし者なのだと聞いたことがある。

 彼の背景は容易に想像ができた。

 裕福な家庭、ずば抜けた頭脳、どんな場でも主役になってしまう圧倒的な美貌……菅井左京はすべてを持って生まれてきた男なのだろう。

(でも現状で満足するお坊ちゃんでもないのね)

 もう十分に高い場所にいるのに、まだのぼろうとしている。この瞳のギラリとした光は飢えからくるものだ。頂点に立つまで、彼は決して満たされない。

 おそらく左京だけじゃない。政治家や官僚はそういう人間の集まりだ。いや、そうでない者は一瞬で降り落とされてしまって残らないのだろう。

 困惑した様子で晋也は左京に顔を向ける。

「私はここでおふたりを引き会わせる予定でいたのですが、どうしてご一緒に?」

 蛍と同様に、晋也もこの状況を理解しきれていない様子だ。左京が先ほどの尾行男についてザッと説明する。
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