冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「単刀直入に言おう。海堂治郎の隠し子である君も赤霧会のターゲットだ。治郎に対する人質になりうる人物としてな」
「私が?」
「そうだ。京都でも今も……君を尾行していたのは赤霧会の人間と思われる」
「どうして……」

 呆然とつぶやいたが、答えはもうわかっていた。蛍は俗にいう隠し子だが、政界では公然の秘密という状態で知っている人間も多いはず。海堂家の縁者や、治郎の所属する立憲平和党の幹部などは把握している。赤霧会がどこかから情報を得ていたとしても不思議はない。

 親子とも呼べない希薄な関係なのにどうしてこんなときばかりと怒りが湧くが、晋也や左京に文句を言うことではない。蛍はどうにか怒りをこらえて冷静に話の続きを聞く。

「海堂家に手を出すのはそう簡単ではないし、出したらかなりの大事になる。それは赤霧会だって承知している。そうなると……狙いやすいのは隠し子で、世間的にはごく普通のOLである大槻蛍」

 左京は淡々と恐ろしいことを口にする。

「君を探っていたのはライフスタイルや交友関係を知るためだろうな。もっとも一般人の君に対して、いきなり凶行に及ぶほどは彼らも馬鹿じゃないと思うが」
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