冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 郵便物の紛失、京都でのこと、マンションの下にいた男、そして先ほどの尾行、すべて赤霧会の仕業だったのだろうか。想像以上に自身の身が危険にさらされていることを理解して蛍は青ざめた。背中を冷や汗が伝う。

「海堂家の人間じゃないから、私は危険なんですね」

 治郎の隠し子だから狙われているのに、正式な娘ではないから誰にも守られない。あまりの理不尽さに蛍の声はかすかに震えた。左京はじっと強い瞳で蛍を見据える。

「残念ながらそのとおりだ。だから俺がここに来た」

 左京は席を立ち、蛍の前まで歩いてきた。つられて蛍も立ちあがる。

「警察の矜持(きょうじ)にかけて、君のことは必ず守る」

 真剣な瞳に心臓がドクンと小さく跳ねた。『守る』なんて言われたのは初めてで、どうにもくすぐったい。けれど続く晋也の台詞で蛍はすぐに我に返った。

「菅井さんにはしばらくの間、蛍さんのボディガードを務めてもらおうと思っているんです。よく知らない人間と暮らすのは窮屈でしょうが、赤霧会は本当に危険なので……」

 蛍は自分の耳を疑った。

(よく知らない人間と暮らす?)

「ど、どういうことですか?」
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