冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
蛍は渋々言い直す。
「さ、左京さん」
左京の表情がやわらぐ。
「なんだ?」
「チケット、ありがとうございました。観たいと思っていたんです」
「どういたしまして。バレエ鑑賞ならあいつらも紛れ込みにくいだろうしな」
たしかに、上品なマダムが中心となる観客のなかに赤霧会の人間がいたらさぞかし目立つことだろう。左京が今日のプランにバレエを選んだのはそんな理由もあったのかもしれない。
会場は渋谷にあるバレエやオペラ専門のホールだ。食事したホテルとそう離れてはいないが車で向かった。
「歩いてもいい距離だったんだが、安全を優先しよう」
「おなかがいっぱいなので、車のほうがありがたいです」
蛍自身は運転をしないので、東京の街を車で走るのは新鮮だった。途中の道で、満開の桜が見えて思わず感嘆の声を漏らす。
「綺麗。すっかり春ですね」
左京はなにも言わなかったが、さりげなく運転のスピードを緩めてくれた。隣に感じる彼の気配に少しだけ胸がドキドキする。
(あの人みたいに自分の野心しか頭にない人間なのかと思っていたけど……)
「さ、左京さん」
左京の表情がやわらぐ。
「なんだ?」
「チケット、ありがとうございました。観たいと思っていたんです」
「どういたしまして。バレエ鑑賞ならあいつらも紛れ込みにくいだろうしな」
たしかに、上品なマダムが中心となる観客のなかに赤霧会の人間がいたらさぞかし目立つことだろう。左京が今日のプランにバレエを選んだのはそんな理由もあったのかもしれない。
会場は渋谷にあるバレエやオペラ専門のホールだ。食事したホテルとそう離れてはいないが車で向かった。
「歩いてもいい距離だったんだが、安全を優先しよう」
「おなかがいっぱいなので、車のほうがありがたいです」
蛍自身は運転をしないので、東京の街を車で走るのは新鮮だった。途中の道で、満開の桜が見えて思わず感嘆の声を漏らす。
「綺麗。すっかり春ですね」
左京はなにも言わなかったが、さりげなく運転のスピードを緩めてくれた。隣に感じる彼の気配に少しだけ胸がドキドキする。
(あの人みたいに自分の野心しか頭にない人間なのかと思っていたけど……)