冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「左京さんならきっと、一番てっぺんにのぼれます。応援していますね」

 左京は横目で蛍を見て、苦笑する。

「他人事みたいだな。君は俺の妻なんだから、そこは『一緒にがんばろう』じゃないのか?」
「さすがに、その頃には他人に戻っていますよ」

 笑って答えたけれど、かすかに胸が疼く。

 左京がトップに立つ瞬間を見てみたい。ほんの一瞬、そんなことを思ってしまった。
 
 デートから数日。

 赤霧会とは別件の大きな仕事が入ったようで、左京の帰りは少しずつ遅くなっていた。夜十時、蛍のスマホが鳴る。

「もしもし」
『俺だ。そっちは変わりないか?』

 左京だった。

「はい。今日も怪しい人はいませんでした」

 会社のすぐ近く、同僚にバレないギリギリの距離まで送迎をしてもらっているし、このマンションのセキュリティは強固。これでは赤霧会も諦めざるを得ないのではないだろうか。

『よかった。俺は今から帰る。最近遅くなってばかりで悪いな』

「いえ。私も十分に気をつけるので、気にせずお仕事がんばってください」

 やり取りが本物の新婚夫婦のようで気恥ずかしい。
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