スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
しかもその縁談は、まとまってなどいないのだ。営業スマイルを浮かべたスタッフが気付いているかは分からないが、九分九厘成立しない希望的観測を聞かされている彼女が、なんだか気の毒に思えてしまった。
「どうしたんですか?」
いつの間にか私服に戻った奈央子が隣に立っていた。縮こまりながらもしっかり聞き耳を立てている私に、困惑の表情を浮かべている。
「実は――」
またしてもこの子に、洗いざらい話すことになってしまった。
私と貴博さんの齟齬は一言で伝えられるものではないのだが、文乃さんもまた嬉々として息子の話を続けている。おかげで奈央子は現状を正しく理解した上で、目の前に彼の母親がいることに目を輝かせていた。
「深雪さん、何ボーッとしているんですか! お母様と仲良くなれる絶好のチャンスじゃないですか」
「……どういうこと?」
答えるまでもないと、彼女は早速行動に移った。
「すみません」
まずは店員に声を掛ける態で、文乃さんとの距離を物理的に詰めていく。先程脱いだドレスの片付けを店員にお願いすることで彼女と二人きりになると、持ち前の人当たりの良さであっという間に会話に引き込んでいた。
「可愛らしい花嫁さんね」
「ああ、違うんです。花嫁さんは私じゃないんですよ」
「どうしたんですか?」
いつの間にか私服に戻った奈央子が隣に立っていた。縮こまりながらもしっかり聞き耳を立てている私に、困惑の表情を浮かべている。
「実は――」
またしてもこの子に、洗いざらい話すことになってしまった。
私と貴博さんの齟齬は一言で伝えられるものではないのだが、文乃さんもまた嬉々として息子の話を続けている。おかげで奈央子は現状を正しく理解した上で、目の前に彼の母親がいることに目を輝かせていた。
「深雪さん、何ボーッとしているんですか! お母様と仲良くなれる絶好のチャンスじゃないですか」
「……どういうこと?」
答えるまでもないと、彼女は早速行動に移った。
「すみません」
まずは店員に声を掛ける態で、文乃さんとの距離を物理的に詰めていく。先程脱いだドレスの片付けを店員にお願いすることで彼女と二人きりになると、持ち前の人当たりの良さであっという間に会話に引き込んでいた。
「可愛らしい花嫁さんね」
「ああ、違うんです。花嫁さんは私じゃないんですよ」