スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
*
再び篠目邸にやってきた。それも何故か奈央子と二人で。
お邪魔してみたいとさらりと口にした彼女なら、文乃さんの連絡先や家の場所を聞くことだってできただろう。けれども自ら尋ねることはせず、先輩が知っているから大丈夫だと自然な形で私を巻き込んでいく。
とはいえ「先輩のため」が「自分自身の興味のため」でもあることは明白で、由緒正しき日本家屋とその手前に立ちはだかる木製の門扉を前にした奈央子は、目をキラキラさせていた。
インターフォンの応答を待つ間、こらえきれないという感じで話し掛けられた。
「ホントに豪邸ですね」
「怖くないの?」
「何がですか?」
年季の入った門扉から放たれる圧をまるで感じていない後輩に、どう説明しようか考えていると、正面の門ではなく脇に設えられた通用口の扉が開いた。文乃さんがひょっこり顔を出す。
「いらっしゃい」
こうして私たちは、正々堂々篠目邸に足を踏み入れることとなった。
前回は勝手知ったる貴博さんに導かれ、招かれる前から押し入ってしまう形になっていた。けれどもきちんと迎え入れてもらうことができたなら、上り框から見下ろされることもないし、手土産も笑顔で受け取ってもらえる。
「あら、ケーキ? 一緒に食べましょうか。用意するからこちらでお待ちになって」
再び篠目邸にやってきた。それも何故か奈央子と二人で。
お邪魔してみたいとさらりと口にした彼女なら、文乃さんの連絡先や家の場所を聞くことだってできただろう。けれども自ら尋ねることはせず、先輩が知っているから大丈夫だと自然な形で私を巻き込んでいく。
とはいえ「先輩のため」が「自分自身の興味のため」でもあることは明白で、由緒正しき日本家屋とその手前に立ちはだかる木製の門扉を前にした奈央子は、目をキラキラさせていた。
インターフォンの応答を待つ間、こらえきれないという感じで話し掛けられた。
「ホントに豪邸ですね」
「怖くないの?」
「何がですか?」
年季の入った門扉から放たれる圧をまるで感じていない後輩に、どう説明しようか考えていると、正面の門ではなく脇に設えられた通用口の扉が開いた。文乃さんがひょっこり顔を出す。
「いらっしゃい」
こうして私たちは、正々堂々篠目邸に足を踏み入れることとなった。
前回は勝手知ったる貴博さんに導かれ、招かれる前から押し入ってしまう形になっていた。けれどもきちんと迎え入れてもらうことができたなら、上り框から見下ろされることもないし、手土産も笑顔で受け取ってもらえる。
「あら、ケーキ? 一緒に食べましょうか。用意するからこちらでお待ちになって」