スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
などと応接室に案内されれば、前回と全く同じ構図になったにも関わらず気の持ちようががらりと変わる。もちろん隣にいるのが無駄にワクワクしている後輩だということも、この場合は心強い。
「ちなみに深雪さん、今日来ることは貴博さんに話したんですか?」
「……話してないけど」
最後に会った例のお見合い会場のレストランから、少なくともこちらは結構気まずい思いをしている。貴博さんも自ら婚約解消を示唆した状態だからか、副社長と身バレしている職場で私の前に現れることはなかった。
「奈央子と二人で篠目家に乗り込む状況が不思議すぎて、どう説明したらいいか分からなかったし」
「彼氏の実家に遊びにいくのに、黙っている方がよっぽど不思議ですけど」
「いや、彼氏ってわけじゃ」
「そうでした。彼氏じゃなくて婚約者でしたね」
飄々とうそぶく奈央子を見ていると、俯きがちに縮こまっている自分が馬鹿みたいに思えてくる。
するとそこへ、バタバタと元気のいい足音が響いてきた。我々が振り向くとほぼ同時に襖が開かれる。
「兄ちゃんの彼女って、どっち?」
目の前にイケメンが立っていた。
貴博さんによく似た彫りの深い整った顔立ちで、しかし貴博さんよりも一回りくらい幼く見える。シャツとジーンズのラフな服装も相まって、一見して学生と思われる。
「ちなみに深雪さん、今日来ることは貴博さんに話したんですか?」
「……話してないけど」
最後に会った例のお見合い会場のレストランから、少なくともこちらは結構気まずい思いをしている。貴博さんも自ら婚約解消を示唆した状態だからか、副社長と身バレしている職場で私の前に現れることはなかった。
「奈央子と二人で篠目家に乗り込む状況が不思議すぎて、どう説明したらいいか分からなかったし」
「彼氏の実家に遊びにいくのに、黙っている方がよっぽど不思議ですけど」
「いや、彼氏ってわけじゃ」
「そうでした。彼氏じゃなくて婚約者でしたね」
飄々とうそぶく奈央子を見ていると、俯きがちに縮こまっている自分が馬鹿みたいに思えてくる。
するとそこへ、バタバタと元気のいい足音が響いてきた。我々が振り向くとほぼ同時に襖が開かれる。
「兄ちゃんの彼女って、どっち?」
目の前にイケメンが立っていた。
貴博さんによく似た彫りの深い整った顔立ちで、しかし貴博さんよりも一回りくらい幼く見える。シャツとジーンズのラフな服装も相まって、一見して学生と思われる。