フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
昼休み。
朝寝坊をしてしまって、水筒を忘れた私は、
怜実と紗奈ちゃんに一言言って、自販機のあるフリースペースへ向かう。
自販機に向かう廊下で唸るように考える私。
内容は勿論今朝のこと。
うぅん…私って、子供っぽい、のかな…。
そこが良いって、言ってくれた2人のことは嬉しいけど。
頭の中で無限ループしながら考えていたその時、教室にいる櫂先輩が目に映った。
「櫂って、好きな女子のタイプとかあるん?」
「うわ、お前やったなw」
「こいつ彼女いんの知ってるだろ」
「いーじゃんいーじゃん。好きな人=好きなタイプだって限らねぇだろ?」
櫂先輩の周りにいる、龍輝のおふざけが発展しすぎたのを擬人化したような、
名前も知らない先輩たちが、そんなことを言った。
いわゆる人柄は知らないけど何となく嫌な感じな雰囲気を出している人。
先輩のタイプ!?ってどんなだろう…!?
盗み聞きしていることは悪いと思いつつ、先輩の言葉に遠くから耳を傾けると。
「うーん、…大人っぽい綺麗なお姉さん系?
ほら、あーいうのって、ヤる時とかドキッてしそうじゃん」
「やっぱりそーだよな!」
「櫂、分かってんじゃん!」
櫂先輩から出るとも思っていなかった言葉が耳に届き、思わず固まる。
体は固まっているも、頭の中は大忙し。
な、な、何ですと───!?
1度も私、櫂先輩からそんなこと聞いたことなかったのに。
先輩のクラスメイトたち、あんなあっさりと!!
しかも、好きなタイプが…真逆すぎる!
私、綺麗なお姉さんみたいにスタイル良くないし、
身長が平均よりも1・2センチ低いし、
ロングヘアだけどストレート全然似合わないし、
ぷっくり潤った色気のあるお肌じゃないし、
胸大きくないし。
これ、めちゃめちゃに頑張らないといけないのでは!?
うぅ、ショックだけど、クリマスまでまだ3週間ある!
それまでに先輩が好きな『綺麗な大人っぽいお姉さん』になってみせる!
頑張るぞ!
いつの間にかショックだった気持ちが頑張ろうという気持ちに上回り、火がついた私。
「でもまあ、1番はーー…」
怜実と紗奈ちゃんに早速相談しようと教室へと去った時、
先輩が後付けした言葉は耳に届かなかった。