フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
放課後デートという名の学校帰り。


デートということもあって、いつもとは違う遠回りをしたイルミネーションが


彩る商店街をゆっくり歩いて行く。


いつものデートでは、私から話して先輩は相槌を打って、


笑ったりしてくれるけど。


さっき頭で考えたことが妙に自分の脳裏を焼きつけて、


気持ちが負のループしっぱなしで落ち着かない。


そのせいで、話そうと思ったことも、いつの間にか真っ白になった。


だから、お互いに沈黙。


こういうこと、怜実たちでさえ滅多にないから、沈黙に慣れてない私は気まずい。


何とかしなきゃって思えば思うほど、焦るから、もう頭の中はパンク状態。


「彩」


いつの間にか下に俯いていた私は、先輩のいつもより少し高めのトーンの声で顔を上げる。


「え、あ、はい!何ですか、先輩!」


薄暗い不安な気持ちとは裏腹に、


音楽の発声練習してる時みたいな明るい声で先輩に返事をすると。


「……あいつらとの話、聞いてたでしょ?」


先輩は、私の悩んでる節を突っつくかのように、控えめながら鋭いことを聞いてきた。


「!?」


それに対して、図星だから、案の定、私は目を見開いてびっくりする。


先輩も、私の反応を見て、当たったかのように「やっぱりか〜…」と、


私が聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた。


そして。


「本当ごめん。テキトーに合わせてたとは言え、


聞いてたせいで思い詰めさせてたなら…」


眉を下げて、首に自分の手を回して謝ってきた先輩に、


さっきまで渦巻いていた負の感情が拭われた私は。
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