フラれたはずなのに、なぜか迫ってくる
「───そんなことないですよ!」


いつの間にか、


いつものトーンで先輩の言葉を修正するかのように声を出した。


「え?」


そんな私に先輩は、謝った時の格好をしたまま、戸惑い固まった。


けど、私はそんな先輩にお構いなしで、言葉を続ける。


「私、自分が他の人みたいに頑張れる人間だと思ってなくて。


けど、メイクとかトレーニングとか、


やったことないものをちゃんと頑張れるの知れたから、嬉しいんです!


だから私も櫂先輩もWinWinです!」


先輩にピースをして、そう告げると。


突然、笑い出した先輩。


「あははっ、ほんとそういうとこ、愛おしいね」


「愛お…!?先輩がらしくない言葉を言った…」


「彩は俺のこと何だと思ってんの…。俺彩の彼氏だけど」


「何考えてるか分からない掴めない先輩です」


「はっきり言うねー…」


ガックリと肩を落として、しょんぼり落ち込んだ顔を見せる先輩に、


今度は私が笑みを浮かべる。


先輩って、見かけによらず、実は結構ヘタレだったりするんだよな。


時々見せる余裕のない顔は、いつも振り回されている私からしたら、


すごく可愛いものそのもの。


ほんわか温かい雰囲気に包まれていると、ふとある疑問が浮かんだ。


「そういえば、先輩はどうして私が、


先輩のクラスの人たちの話聞いてたってこと知ってるんですか?」


「あーね。それは柊がここ最近付き合い悪かったからさ」


「なるほど!」


「部活ない日は放課後すぐバイトなのに、


6時とか7時とかにして貰ったとか言ってたからさ。


何かあるだろうと思って問い詰めたら、彩のこと言って来て。


そんで、ついでに怒られるまでのハメにもなった」
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