クズとブスの恋愛事情。

ミキはさほど深くも考えず、お菓子やジュースを飲みながら、フジから送られてきたアンジェラ情報の映像が映し出された時

アンジェラ映ってるー!とか、まるで楽しみにしていた映画でも見るかのように大はしゃぎしていたが、それも最初のうちだけ。


《アンジェラの映像内容》


アンジェラとセフレ関係であろうアンジェラ好みのイケメンが裸のままベットに横たわりながら、何かを思い出したかのように噴き出し笑いをしながら


『なー、アンジェラ。マジで、“あの計画”実行すんの?』

なんて、何が面白いのか悪戯っっこのように笑いながら隣で肌で横になりながら携帯をいじってるアンジェラに話しかけた。

その前に、お互いに大人の大運動会をしたばかりなのだろう。たくさんの汗をかいて喉も渇いてるらしく、セフレがペットボトルの水をグビグビ飲んでるとアンジェラも物欲しそうにセフレを見ていたのでセフレはそれに気が付き

水を口に含んだままアンジェラに近づくと口移しでアンジェラに水を飲ませていた。

それをキッカケに、また二人は楽しそうに絡み合い始めた。


『もちろん、計画は絶対に実行するし成功させるわ。
あなたにお願いしてた件も上手くいってる?』

と、悪い笑みを浮かべながらセフレに聞くアンジェラに


『俺の方は、順調だよ。

“童貞で容姿が不細工な女に飢えてる男”

探せばいいんだよな?俺の友達に声掛けたりネットで

“急募。処女を捨てたがってる女の子がいます。
でも、性に潔白なので童貞しか受け付けないそうです。
どんな不細工な容姿であっても童貞なら喜んで受け入れます。

そして、赤ちゃんも欲しいそうなので避妊具無しの本番でお願いします。よろしくお願いします。”

って、募集掛けてたら、怪しんでる奴らの方が多かったけど。それでも、ちらほら集まってるよ。』


『ありがと!大好きよ、ヒロ君!あなたの他に頼んでた友人達も少しだけど童貞の不細工男が集まってるみたい。だから、全員合わせれば30人くらい集まってるわ。これ以上増やすと、海外に送り込む予算とかオーバーしちゃうから募集はここまでね!』


なんて、内容の動画を見て

さっきまで、はしゃいでたミキと不安気に見ていたカイラは、あまりのえげつない二人の会話にピシリと思考が停止してしまった。


『しかし、アンジェラもえげつない遊び考えるね。後で、どうなったか動画でその様子を送ってよ。』


『いいわよ。不細工女と大勢の不細工男達のヤッる動画バッチリ撮って、手伝ってくれた君達にプレゼントしてあげるわ。』


それから、ミキとカイラは“嘘だろ!?”と、信じられない気持ちでアンジェラ達の映る動画を食い入るように見ていた。


…ドックン、ドックン、ドックン!



『うふふ!あのクソブス女、どうせ一生恋愛や結婚できない全く男に相手にもされない。見向きもされない、可哀想な人生送るのは決定なんだもん。
不細工男達だろうが処女をもらってもらえるんだし、たくさんの男性と性行為できるんだから本望でしょ。
一度に性経験豊富になっちゃうわね。泣いて喜ぶわよ〜?

不細工な童貞男達も思う存分エッチできるし、童貞捨てられるし!私って、凄くいい事してるって思わない?
底辺のブサイク処女と童貞キモ男達に、奴らにとっては一生かかってもできない性経験をさせてあげる経験をさせてあげる私って優しすぎない?キャハハッ!』


…嘘でしょ?

この悪魔は、俺の知ってるあのアンジェラなのか?


…ドックン…!


『そして、これは上手くいくか賭けだけど、あの底辺ブス女が妊娠したら大成功よ!
その時が、すっごい楽しみ!今から、楽しみで仕方ないわ!!』


……は?

ひーちゃんを不細工な男達に避妊無しで思う存分エッチさせて、ひーちゃんを妊娠させるって???

…なに、それ?

人の事、何だと思ってるわけ?

オモチャじゃないんだよ?

何より、そんなに大勢の男達にまわされたら確実に、ひーちゃんの体壊れちゃうじゃん!
相手をどんな扱いするかも分かったもんじゃない初対面の男達だよ?

しかも、あんな胡散臭くてヤバイ内容で集まってくるような輩だから、まともにヤツは誰一人としていない。

そんな輩だからひーちゃんをオモチャ扱いして、遠慮なくひーちゃんがどうなろうと無慈悲にガッつくはず

…これ…れっきとした犯罪じゃん!


何より、アンジェラ…お前…何様のつもりなわけ?


『大勢の不細工男達にレイプされた挙げ句、妊娠までしたらあの底辺ブス女どんな絶望的な顔見せてくれるんだろう?もう、楽しみ過ぎてドキドキとワクワクが止まらないわ!』


『あはは!ウケる!底辺ブス女が妊娠とか面白すぎね?
けど、さすがに一度に30人相手とかやり過ぎじゃね?』

『……え?なに?さっきまで面白がってたくせに、急に底辺ブス女が可哀想になったとか?
私なんて、物心つく頃には不義の子だって家族に蔑ろにされて、ずっとずっと虐待を受けてたのよ?無視は当たり前、殴る蹴るも日常茶飯事…ご飯だってまともに貰えた事なんてなかったわ!

それに比べたら、今まで何の苦労もなくのほほんと暮らしてた平和ボケした底辺ブス女が大勢の男達と性経験して妊娠したくらいなんて大した事ないわ。
私の苦しみや辛さに比べたらこれくらいされたってどうって事ないじゃない!』


『……そんな、怒んなって!』

『気分が悪いわ!もう、帰るっ!!』

『…だから、ごめんって!!』



《アンジェラの映像終了》



なんて、映像まで流れていたが…


これが、あのアンジェラなのか?と、ショックのあまり信じられない気持ちで呆然と映像を見ている。

ミキはアンジェラの事を信頼しお互いの事を分かり合え知らない事などないくらいに自分の半身だとも思っていた。

だからこそ、自分の全く知らない姿のアンジェラが映し出され、その内容は自分の知っているアンジェラでは到底考えられないくらいの残虐非道極まりない悪どい計画を企て実行までしようとしている。

しかも、計画が成功した時のこと、陽毬が嘆き悲しみ泣き叫ぶ姿を見たいと大はしゃぎして笑っているのだ。それが、とても楽しみだと…。


…こんなアンジェラなんて知らない…


……ドックンッ!


だが、映像に映し出された人物は何度見返してもアンジェラ本人であり、ミキの知らなかった部分のアンジェラがそこにはいた。

そこで、ミキはアンジェラを信頼し自分の半身の様に大切に思っていた分、深く裏切られた気持ちになりそのショックはかなり大きかった。

その映像の中のアンジェラを見てミキは……残虐非道な大悪魔だと感じ、こんなヤツを自分の半身だと何でも言い合える大親友だと大切に思っていたのかと思ったら、全身身震いして寒気が走った。

自分はアンジェラの本当の姿を見る事もせず、少しくらい悪い部分があったってそれは人間誰しもいい所悪い所があるのだから

その悪い所を受け入れられるか否かで、友達や恋人関係が築けるのだとも考えていた。

だからアンジェラの悪い所もさほど気にならなかったので、アンジェラと何でも話し合える信頼できる親友として一緒にいたのに。


それから、ミキは大慌てで面倒だと放置していた書類に目を通し音声も聞いた。


どれもこれも、真っ当な人とは思えない身の毛もよだつ様な内容ばかりでミキは驚きを隠せずいた。



だって、そのアンジェラに関する書類や音声は…

過去、現在までミキに好意を抱き近づこうとした女性や、ミキのエッチもできる女友達に対してアンジェラは

いつもの

“自分は小さい頃からの大親友で、ミキの事なら知らない事なんてないミキと一心同体みたいなものだから、ミキの事で知りたい事や相談があったらいつでも聞いてね!”

と、大親友を超えたお互いに無くてはならない特別な存在だけど、あくまでお互いに恋愛はない大親友だと強調する大親友マウントを言っている音声が流れている。

音声を流しつつ、ミキは送られて来た膨大な量のアンジェラの情報の載った資料を物凄いスピードで目を通していく。


音声が進んでいくと、先程のミキと自分は特別な存在の大親友マウントから

ミキと体の関係を持った女の子達に

ミキって、ヤれそうな場所とか見つけるの得意よね。
ここで、ヤッた事ある?スリリングでーーーだの、ミキって体力あるからついていけてる?満足させてあげられてる?ミキは、◯◯とか好きよね。
あんなチャラそうなのに、エッチとか凄く丁寧で優しいし労わってくれるとか意外だったでしょ?

など、自分がいかにエッチの事までミキの好みをくまなく知っていて、どれだけ自分とミキの体の相性がいいかなどなどエッチのマウントもかなりのものだった。


ミキは、エッチの内容や性癖をバラされる羞恥と

ミキがアンジェラに執着していて、ミキがいかにアンジェラを激しく求めているかというアンジェラのマウント内容を聞いて、

アンジェラに対し性的に一気に冷めてゼロどころかマイナスな気持ちになりドン引きしてしまった。


…え?

ここまで詳しくエッチの内容言っちゃう?

…さすがにあり得ない…

オレの気持ち考えてくれてる?

めちゃくちゃ最低最悪な気分なんだけど

かなりの嫌がらせ受けてる気分…


ミキは、自分の知らないアンジェラに対し不快感と怒りを露わにしつつ資料も読み続けていた。

その資料の内容は


アンジェラは自分より下だと思う相手を見下し、暴言を吐き嘲笑ってたり、靴の中に干からびたカエルやミミズを入れたり教科書や教材道具を隠したり
気に入らない相手の机や椅子にワザと食べカスやドレッシングなどを付けたりしていたようだ。

ミキもアンジェラの“些細な悪戯”や“ちょっと口が悪いくらい”は、知っていたが…

ここまで酷い虐めをしているなんて全く知らなかった。


自分より少し劣るくらいの相手は大好きらしく、そういう相手を気に入り友達になっているようだ。

相手が自分より上だと、嫉妬心から相手を気に入らなくて、相手のある事ない事の噂を流しては裏で悪口を言って相手の評価をガタ落ちさせてはほくそ笑んでいる。

だが、表向きはその子達とも仲良しと見せかけて上手くやれているのは…女って怖い生き物だなと思ってしまった。

だが、やはり裏で悪口を言われ評判をガタ落ちにされてきた子達も、その原因は直感的にアンジェラかもしれないと警戒して距離をとっているようだが。

何より酷いのは、ミキのエッチできる女友達とミキに気のある女子で積極的にミキに近づこうとする子達。
ミキが、“あ、こういう子好きかも。”なんて、何気なく好意的に言った子達は…

自分のエッチできるたくさんの男友達と手を組み、あらゆる手段でその子達を卑劣な手段で陥れ

売春させたりエッチな動画に出演させたり、自分達が犯される動画をチラつかせては逃げられないようにして彼女達から体を売って手に入れたお金を奪いたくさんの男友達と豪遊していた。

…初めて知るアンジェラの悪行に、ミキはショック状態で全然頭がついていけてなかった。


…これは、本当の事なの?

この悪魔の化身のような女は、本物のアンジェラなの??

…とてもじゃないが、自分の知ってるアンジェラと掛け離れ過ぎていて信じられない…信じたくない気持ちでいっぱいでこの事実をなかなか受け止めきれないでいるミキ。



そんな様子のミキを見てカイラは


「どんなに親しい人にも必ず何かかしらの秘密は存在すると思うよ?

例えば、可愛い感じの秘密だったら、周りにはファッションリーダーでみんなの憧れの的ではあるけど、周りにはアイドルオタクなんて居ないから隠れオタク趣味を持ってるとか。

強面でみんなに恐れられてるけど、可愛いものが好きで可愛いに溢れてる部屋に住んでるとか。

…あとは、実は毛深くて周りにバレないように、あちこち毛を抜いてるとか。水虫だったり痔だけど、誰にも相談できないとか。とても人には言えない恥ずかしい秘密だったり。」


…まあ、ひーちゃん想像しながら自慰とかね

いっぱいひーちゃんの名前呼んで、好き、大好きって声出しながらしちゃってるからなぁ〜

そりゃ、さすがのオレもめちゃくちゃ恥ずかしくて誰にも言えないけどねー


カイラちゃんに言われなきゃ考えもしなかったけど


自分にとって人に言えない恥ずかしい秘密だったり、複雑な事情で秘密にせざる得ない事だってあるよね


秘密を話す事で、何も悪い事もしてないのに人に距離置かれたり揶揄われる可能性あるんだったら…


どんなに仲良い家族や恋人、友達にも言えない秘密ってあるかも


なんて、ミキは確かになぁ〜と考えていた。



「最悪な秘密だとしたら、表向きは良い人だったり色々居ると思うけど犯罪に手を染めてるとか…これは、絶対にあってはいけない事だけど。
ミキ君だって僕も小さかれ大きかれ何かかしらの秘密は、ごく細かい事も含めればたくさんあるはず。

…アンジェラの秘密は…とても許されるような事ではないし絶対にしてはいけない事だけど。」


…ドックン…!


…アンジェラ…


「なのに、全てを知った気でいる方がおかしな気がするし、自分はその人、本人ではないのだから。一体、ミキ君はアンジェラの何なの?同一人物なの?違うよね?」


カイラは短時間ではあるが、ミキのあまりの軽薄、軽率さ、都合が悪くなると我関せずという自己中心的な行動に目が余り

ついついお節介にもミキに今一度、過去を振り返り自分の言動を思い出して考えてほしく口を出してしまっていた。


「まるで半身のような気持ちとか、そうでありたいという気持ちの問題だよね?
確かに、ミキ君はアンジェラの色んなことを知っていて手に取るように分かる事が多いと思うけど。」


…ミキ君、お願いだから!


辛く苦しみの日々を過ごしてきて、色んな嫌な気持ちを味わい知ってる事が多い君でしか分からない意思や気持ちがあるはず

それを自分がこんなに苦しんでるんだから、別に他の奴らが苦しもうが自分には関係ない

どうでもいいなんて思わないでほしい

その時さえ良ければ、後はどうでもいいなんて軽く考えないでほしい



「全てではないはず。その中でも、少量なりともミキ君の知らないアンジェラは存在するし。
もちろん、アンジェラの知らないミキ君だって存在するはずだよ。」



ミキ君やアンジェラだけが、色んな感情を持って生きてる訳じゃない

周りにいる人達みんな、ミキ君達と同じように感情があって頑張って生きてる


だから、ミキ君…!

君には、もっと周りの人達の事を考えてほしい

自分が大切にしたい人がいるなら、その子の気持ちを考えてあげて?

ちゃんと後先の事も考えて未来を想像して、何より自暴自棄にならないで自分を大切にしてほしい!


と、ミキの酷い家庭環境から同じような境遇であるアンジェラに長年に渡り依存し続け、抜け出す事が難しい状態にあるミキにそんな願いを込めながら

ミキにとって、聞きたくもない話を心を鬼にして話すカイラだ。


そんなカイラの様子を見て


「…カイラちゃんに、そんなに泣かれちゃったらね?オレも色々考えなきゃだし。
何より、アンジェラの件はあまりに深刻で絶対にやっちゃいけない大きな犯罪だよ。
…もし、この計画が実行されちゃったら……資料に載ってた子達みたいに、下手したらそれ以上に、ひーちゃんの人生が狂っちゃう。何とか、阻止しなきゃ。」

困ったように、笑い掛けた。


そう、資料に載ってるミキのエッチできる友達が、会う度に徐々に元気がなくなってきてた気がする。会ってた時は、そう感じなかったけど。楽しくヤれれば、それだけで良かったから。

今、思い返してみれば、そんな気がしてきた。そのどの子もミキに必死になって御奉仕して、妙にエッチが上手くなったなぁなんてそれ以上考える事もなくて。

その内、エッチできる友達がドンドン自分の前から消えていた気がするけど、その分新しいエッチできる友達が増えるからさほど気にしなかった。


…まさか…


アンジェラの計画によって、精神崩壊して引きこもりになったり気が狂いおかしくなって心療内科で檻のついた部屋に閉じ込められ入院させられてたり

望まない命を孕って何度も、お腹の命を殺し続け心を病み自分も命を絶ってしまっていたり

自暴自棄になり犯罪組織に手を染め…とても口に出せない酷い目に遭っていたりと散々なものばかりだった。


…まるで、生き地獄…


まさか、彼女達がそんな地獄を味わってるとはつゆ知らず、ミキこそのほほんと彼女達の苦しみや辛さなど知ろうともせず

その場限り面白おかしく気持ちいい事してスッキリするだけして解散する。そんなミキは彼女達にとって一瞬でも嫌な事が忘れられる楽園の様な中毒性のあるものであり

ミキが居なくなった瞬間にミキにとって自分は一体何なの!?自分はこんなにもミキを想ってるのに、ミキは私の事少しでも考えてくれてる?

…私ね、アンジェラって悪魔に貶められて凄く凄く酷い事ばかりされてる。生きるのが辛い。

でもね。ミキが嫌がるだろうから言えないけどミキが好きなの。だから、こんな汚れまくって性病だらけになって誰の子かも分からない赤ちゃんできても

恥ずかしいけど、ミキに性病うつすといけないから性病治す為に病院行って。赤ちゃんは……可哀想だけど……堕して。綺麗にしてから、ミキに会ってるんだよ?


だって、今の私の生きる理由がミキだから!

大好きなミキと一緒にいたいから


…でも、聞いて?ミキの前では元気いっぱいに振る舞ってるけど。本当の本当は私、いま凄く辛くて死にたい気持ちなの!助けて?助けてよ、ミキ!!

…けど、こんな事言っちゃったらミキに面倒に思われて捨てられちゃう

それだけは、絶対に嫌……それだけは……ッッッ!!!



精神崩壊した彼女達が、繰り返し口にする言葉らしい必死の訴えだ。

それも、一人や二人じゃない。

命を絶ってしまった彼女達の声を聞く事はもうできないけど。

精神崩壊して、何か呟いている彼女達はアンジェラやアンジェラに加担した男達に怨みつらみをブツブツ呟き、時に暴れたり自傷行為をしている。

そして、少し心が落ち着くと、架空のミキに向かって何もない所で話しかけているらしい。毎日が、その繰り返しになっているようだ。


そんな彼女達の末路を知り、ミキは自分はなんて事をしてしまったのだととんでもないくらいの罪悪感に苛まれ放心状態になってしまった。


後先も考えず、自分の軽薄な目先ばかりで行動していた結果がこれだった。

どうして自分ばかりが、こんなに苦しく辛いのかと世の中を憎む毎日だったミキ。
家族や世の中を恨み憎しむばかりで結局は自分ばかり可愛くて、周りの事なんて気にも留めなかった。自分と似たような境遇で、似たような考え方のアンジェラは別として。


それが、まさか自分が何とも感じず何となく目先ばかり楽しんでいただけのつもりが、自分の知らない所でこんな地獄になっていたなんて…。

こんなの知らないじゃ済まされない。直接、犯罪に手を染めて無くても、彼女達の事を知ろうともせず無責任に彼女達の体を使って快楽を得る為だけのオナホにしていた自分もとんでもないクズだが。

一緒に居て話す機会も多かったし、何かかしら彼女達の変化に気付いていたが面倒だし自分には関係ないと見て見ぬフリをしていた自分も犯罪者のようなものだ。

だって、キッカケはミキなのだから。

ミキは、望んで無くてもミキが知らない所で勝手にしていた犯罪であっても、ミキが何かかしら関係あったのだから。

今は、“ソレ”は分からないが、後で何でこんな馬鹿な犯罪に手を染めたのかアンジェラを問い詰めた時に自ずと答えは出るだろうが。


ここまできて、ようやくミキは

何故、フジはミキを頼らず、むしろミキを邪険にしてフジの掴んだアンジェラ情報をミキに教えなかったのか分かった気がした。


ミキが、あまりに軽薄、冷淡で無責任だからだ。

そんな奴のどこを信用できるというのか?

しかも、陽毬を陥れようとする主犯格であるアンジェラの大親友で数えきれない程に体も重ねている相手だ。
だから、裏でアンジェラに加担してると思われても仕方ない。

日頃の自分の行いが、こんな大事な時に大きく邪魔をする。



…いくら、去るもの追わずでも

相手が気軽にエッチできる女友達でも

直接ではないし知らなかったとはいえ、彼女達が自分のせいで地獄をみている

それに気付いてほしくて、助けてほしくてミキにSOSを出していたにも関わらず面倒事は避けたい。
自分には関係ないと、彼女達の救いの叫びを気付けないフリをして逃げていた。

それが悪い事かと言えば、そうでもない。彼女達だって、割り切った関係をミキが望んでると知りつつ好き好んでミキと関わり体の関係を持っていたのだから。


だけど、裏でアンジェラが絡んでるとあれば話は別だ。


なんで?

どうして、こうなった!!?


ミキは頭では自業自得とは分かっていても、自分の事もアンジェラの事も考えるとどうしようもなくなって頭を抱えるしかなかった。

そんな時、ミキの頭が浮かんできたのは陽毬の姿で、自分のせいで危険に晒されてるというのに、ミキはどうしても陽毬の声が聞きたくなって堪らずに電話を掛けてしまっていた。

自分の横にカイラが居る事すら忘れて無我夢中で陽毬に電話している。


…ドックン、ドックン!


…どうしよう…ひーちゃん!
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