月明かりタンゴ〜罪の恋〜
朝が来た。お姉さんの声で起きた。

「可奈〜起きてよ!ご飯作ったから早くキッチン来て。」

ずっと前からお姉さんは自己中だった。どうやって誰かと結婚できたのか分からないけどいつも思う。

そう。お姉さんが結婚した頃は27歳だった。私、今年で27歳だけど彼氏もいない。

いいじゃん。彼氏もいなくてもいいじゃん。気にしなくていいと言われてるけどいつもこんなに心配してる。

あと、ご飯食べた時は彼氏がいないことについてお姉さんにいじめられてた。

「あ…もう!可奈はいつ結婚するの!お姉さんは10年で結婚してたけまだど晴夜くんと子供作れないことはあんたのせいだよ!もう27歳だから早く…」

「ねえ、優愛、妹に優しく話して?」

優しい声で、晴夜お兄さんがいつもこんなこと言ってる。ずっと前から好きだった声だよ。

お姉さんはお兄さんと出会えてよかった。

寂しい時、悲しかった時、いじめられた時はいつも応援してたよ。だから…なんでお姉さんと結婚したの…

彼氏作れないことはお兄さんのせいだよ。お姉さんがいない時間はいつも私を愛してるって言ってるし。

でも、声では言えない。お姉さんに言えない。悲しさの中で、お姉さんの声が聞こえなかった。

「わかったの?可奈!」
「え?」
「あんたは何も聞こえないの!?」

少し怖かったので立った。びっくりした。自分の足を見て小さい声でごめんねって言った。

「安心して、優愛?可奈ちゃんはまだ若いからきっと彼氏作れる!」
「もう…」

それで静かにご飯を食べた。食べ終わってからバッグにスマホとか入れた。

「いってきま~す」
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