この唄を君に捧ぐ(誰にも言えない秘密の恋をしました)続編
それから10分もしないうちに、個室の引き戸がノックも無く開く。

「こんな日ぐらい、もっとのんびり寝てれば良かったのに。」
一歩部屋に足を踏み入れる瞬間から、心菜に話しかけてくるのはもちろん蓮で、心配そうな顔をしてベッドに近付いて来る。

「お帰りなさい。」
心菜は対照的に、ふわりと笑っていつもの笑顔だ。

「そんなにベッド起こしていいのか?傷口が痛まないか?まだ安静にしているべきだ。」
ベッドのリモコンを素早く動かし、フラットに戻される。

「私は大丈夫。そんな事より、蓮さんの方が昨夜はあんまり寝れてないでしょ?」

こんな時でさえ、自分の事より周りの事を心配する心菜は、本当に凄いなと蓮は関心する。

「俺の事は気にするな。気分が高鳴って寝れなかっただけだから。それより、話したい事って?」
ベッドの横にパイプ椅子を近付け、心菜の顔色を確かめるように顔を寄せて来る。

頬に優しくキスをされ、
「おはよう。」
と、微笑み挨拶を交わす。

「水分は?何本かペットボトル買って来たから、とりあえず飲んだ方が良い。」

点滴をしているせいでさほど喉は乾いてないが、少しでも蓮が安心してくれる為に、有り難く頂く事にする。

少しだけ起こされたベッドで、お茶を一口コクンと飲み、心菜は口を開く。
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