赤金の回廊 ~御曹司に恋した庶民令嬢は愛に惑う~
まわりがクリスマスの飾りつけでにぎわい始めると、同級生の心は冬休みに向けて浮足立つ。
休み時間にクラスでぽつねんと本を読む千枝華の耳にも、同級生の声が届く。
「2組の方、終業式のあとに五百里さまに告白なさるんですって」
どきっとした。
思わず聞き耳を立ててしまう。
「今まで告白した方は全員玉砕なさっているってお聞きしましたけど」
「五百里グループのご子息なら、しかるべきご令嬢とお見合いをなさるのでは?」
「昔とは違いますから、恋愛での結婚もお許しになるかもしれませんわ」
「わたくしにもチャンスがありますかしら」
「五百里さまに心を寄せてらっしゃるの?」
「憧れない方なんていらして?」
ほほほ、と彼女らは上品に笑った。
その後は本の内容が頭に入って来なくて、まったくページが進まなかった。
放課後に将周に会っても心ここにあらずで、心配されてしまった。
千枝華にお見合いの話がきたのは、そんなときだった。
いつかはそういう日が来るかもしれないと思っていた。
学校のお嬢様方はお見合いで結婚するのが普通のようだったから、自分もそうなるのだろうと漠然と思っていた。
だが、それが今だとは思いもしなかった。
今はまだ将周を想っていたかった。報われないのだとしても。
千枝華は泣いて抵抗したが、父は「会うだけでも」と千枝華を説得した。
「向こうがぜひにと言ってくれているんだ。会わずに断るのも失礼だ」
絶対に断る、と千枝華は心に誓った。
心はもう、将周だけに向かっていた。
***
大和から逃げるようにして電車に乗った千枝華は、どきどきしながら言われたことを考えていた。
こんなに魅力的な人をほうっておくなんて。
彼はそう言った。
だが自分にはそうは思えない。
窓ガラスに映った自分を見る。
休み時間にクラスでぽつねんと本を読む千枝華の耳にも、同級生の声が届く。
「2組の方、終業式のあとに五百里さまに告白なさるんですって」
どきっとした。
思わず聞き耳を立ててしまう。
「今まで告白した方は全員玉砕なさっているってお聞きしましたけど」
「五百里グループのご子息なら、しかるべきご令嬢とお見合いをなさるのでは?」
「昔とは違いますから、恋愛での結婚もお許しになるかもしれませんわ」
「わたくしにもチャンスがありますかしら」
「五百里さまに心を寄せてらっしゃるの?」
「憧れない方なんていらして?」
ほほほ、と彼女らは上品に笑った。
その後は本の内容が頭に入って来なくて、まったくページが進まなかった。
放課後に将周に会っても心ここにあらずで、心配されてしまった。
千枝華にお見合いの話がきたのは、そんなときだった。
いつかはそういう日が来るかもしれないと思っていた。
学校のお嬢様方はお見合いで結婚するのが普通のようだったから、自分もそうなるのだろうと漠然と思っていた。
だが、それが今だとは思いもしなかった。
今はまだ将周を想っていたかった。報われないのだとしても。
千枝華は泣いて抵抗したが、父は「会うだけでも」と千枝華を説得した。
「向こうがぜひにと言ってくれているんだ。会わずに断るのも失礼だ」
絶対に断る、と千枝華は心に誓った。
心はもう、将周だけに向かっていた。
***
大和から逃げるようにして電車に乗った千枝華は、どきどきしながら言われたことを考えていた。
こんなに魅力的な人をほうっておくなんて。
彼はそう言った。
だが自分にはそうは思えない。
窓ガラスに映った自分を見る。