赤金の回廊 ~御曹司に恋した庶民令嬢は愛に惑う~
「もう、いいんだ。診てもらったところで同じだから」
なにかをあきらめたような大和の言葉。いつもの人を惑わす態度が消えていた。
「一緒に行きます。診てもらって、きちんと治しましょう」
千枝華が言うと、大和は嬉しさが混じったような苦笑を浮かべた。
「君にそう言われたら、行かないわけにいかないな」
大和とともに車を降り、秘書に先導されてホテルの一室に入る。
その後ろ姿を、また写真に撮るものがいた。
通されたのは最上階にあるモダンで上品な部屋だった。空間を広々と使い、シンプルなソファとテーブルのセットがある。入口からは見えづらい位置に大きなベッドがあった。
湖側の壁は一面のガラス張りになっていた。湖越しに富士山が見える。雪を被った雄大な姿だったが、今の千枝華には感動する余裕などなかった。
大和をベッドに寝かせ、紗のカーテンを閉めてから貴美子は電話をかける。
通話を切ると、彼女は二人に言った。
「渋滞で到着が遅れているそうです。行楽シーズンですから」
「そうか」
大和はため息のように返事をした。
「外を見てきます。社長を頼みます」
貴美子は返事を待たず部屋を出た。
「落ち着かないのはわかるが、こっちで座ってくれないか」
ずっと立ったままの千枝華に、大和が声をかけた。
彼女はベッドの端に腰掛け、横になった彼と正対するように体をねじる。
「こんなときだが、どうしても話しておきたいことがある」
改まった態度と声に、にわかに緊張した。
「これを見てしまって、どうしても許せなくてね」
大和はスーツの中に手を入れ、数枚の写真を取り出した。
「これ……」
千枝華は愕然と一枚を手にとる。
将周が女と仲良さげに写っていた。
肩を抱き、安いラブホテルににやにやしながら入っていく写真もある。
「言いたくなかった。君を傷つけたくなかったから。だが、いつかは君も知るだろう。だったら私が君を支えられるうちに、と思ったんだ」
深刻な声で、大和は告げる。
数枚に写る将周。相手の女は一人ではなかった。昼間の写真もあれば夜の写真もあった。
なにかをあきらめたような大和の言葉。いつもの人を惑わす態度が消えていた。
「一緒に行きます。診てもらって、きちんと治しましょう」
千枝華が言うと、大和は嬉しさが混じったような苦笑を浮かべた。
「君にそう言われたら、行かないわけにいかないな」
大和とともに車を降り、秘書に先導されてホテルの一室に入る。
その後ろ姿を、また写真に撮るものがいた。
通されたのは最上階にあるモダンで上品な部屋だった。空間を広々と使い、シンプルなソファとテーブルのセットがある。入口からは見えづらい位置に大きなベッドがあった。
湖側の壁は一面のガラス張りになっていた。湖越しに富士山が見える。雪を被った雄大な姿だったが、今の千枝華には感動する余裕などなかった。
大和をベッドに寝かせ、紗のカーテンを閉めてから貴美子は電話をかける。
通話を切ると、彼女は二人に言った。
「渋滞で到着が遅れているそうです。行楽シーズンですから」
「そうか」
大和はため息のように返事をした。
「外を見てきます。社長を頼みます」
貴美子は返事を待たず部屋を出た。
「落ち着かないのはわかるが、こっちで座ってくれないか」
ずっと立ったままの千枝華に、大和が声をかけた。
彼女はベッドの端に腰掛け、横になった彼と正対するように体をねじる。
「こんなときだが、どうしても話しておきたいことがある」
改まった態度と声に、にわかに緊張した。
「これを見てしまって、どうしても許せなくてね」
大和はスーツの中に手を入れ、数枚の写真を取り出した。
「これ……」
千枝華は愕然と一枚を手にとる。
将周が女と仲良さげに写っていた。
肩を抱き、安いラブホテルににやにやしながら入っていく写真もある。
「言いたくなかった。君を傷つけたくなかったから。だが、いつかは君も知るだろう。だったら私が君を支えられるうちに、と思ったんだ」
深刻な声で、大和は告げる。
数枚に写る将周。相手の女は一人ではなかった。昼間の写真もあれば夜の写真もあった。