秘密
 そのまま立ち尽くすしかできない私はやっと、何か間違えたのだと気付いた。

 漠然と間違えた事実と、今までを取り戻すことが出来そうにない重苦しい雰囲気に耐えれず、涙がせり上がってぼろぼろと零れた。

 お母さんに抱き着いて、「ごめんなさいいっ、ごめんなさい!!」と泣きじゃくる間、お母さんは一度たりとも私に言葉を返してくれなくなり、抱き締めてくれることもなかった。この後、お母さんとお父さんは話し合うからと部屋に閉じこもってしまった。
 
 子どもが幼いからと再構築を試みたらしい両親は努力したが、一度出来てしまった溝を閉じることは出来ないまま離婚してしまった。ぎくしゃくとした二年間、私はお母さんから抱き締めてもらうことはなく、会話も続けることができなかった。その間一切お母さんの秘密は見えなかった。お父さんはそれを見てお母さんと喧嘩をしていた。


 私はその喧嘩が始まったら一番聞こえないだろう、自分の部屋のクローゼットの中にいつも耳を塞いで転がっていた。そしていつもその秘密について考えさせられるのだ。その離婚するまでの二年間で内緒話は人に隠したいことだと知り、それを秘密だという事を知り罪悪感で押しつぶされそうになった。



 ―――秘密を知っても、それを他人にもらしてはいけない。一生自分で抱えないといけないと。




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