最後の日〜ありがとう、マーチ〜
でも、自由になったのにマーチは私のそばから動こうとしない。私の手に鼻を近付けて甘えてくる。
「もう私の目にならなくていいんだよ?お友達と遊んでおいで?」
そう言ったものの、マーチは鼻をピスピスと鳴らしなら甘えるのをやめない。やめてよ。また目が熱くなってくるじゃない……。
「犬の十戒ってご存知ですか?」
突然、職員さんに言われて私は「わかりません」と答える。職員さん曰く、それは作者不明のまま世界に広がった短編詩だそうだ。元々は英語で書かれており、様々な人に翻訳されているらしい。
「その中の一つにこんな言葉があります。「あなたには学校もあるし友達もいます。でも私にはあなたしかいません」。……マーチにとっての「あなた」は、岡本さんのことなんですね」
あなたしかいないーーー。そんなの、そんなの……。
「それは、私の台詞だよ……!」
そう言った私の声は震えていて、また涙が頰を伝う。ボタボタと涙で顔を濡らしながら、私はマーチを強く抱き締めた。
「もう私の目にならなくていいんだよ?お友達と遊んでおいで?」
そう言ったものの、マーチは鼻をピスピスと鳴らしなら甘えるのをやめない。やめてよ。また目が熱くなってくるじゃない……。
「犬の十戒ってご存知ですか?」
突然、職員さんに言われて私は「わかりません」と答える。職員さん曰く、それは作者不明のまま世界に広がった短編詩だそうだ。元々は英語で書かれており、様々な人に翻訳されているらしい。
「その中の一つにこんな言葉があります。「あなたには学校もあるし友達もいます。でも私にはあなたしかいません」。……マーチにとっての「あなた」は、岡本さんのことなんですね」
あなたしかいないーーー。そんなの、そんなの……。
「それは、私の台詞だよ……!」
そう言った私の声は震えていて、また涙が頰を伝う。ボタボタと涙で顔を濡らしながら、私はマーチを強く抱き締めた。