紅色に染まる頃
「えーっと、中身はアルバム?あっ、ひょっとして結婚式の?」

伝票に書かれた品名を見て、美紅はパッと笑顔になる。

「ほらね、やっぱりサンタクロースだよ。俺達にとって最高のクリスマスプレゼントでしょ?」
「ふふ、確かにそうですね」

二人は早速箱を開けてみた。

「わあ、素敵なアルバム!」

綺麗なデザインの表紙をそっとめくってみる。

和装の二人の写真、神前式の様子、控え室での皆の笑顔…。
ページをめくる度にあの日の感動が蘇ってきた。

「なんだか涙が出てきちゃう」
「そうだな。新年の挨拶回りは、このアルバムと写真を持って回ろう」
「ええ、そうですね。木崎社長ご夫妻と、あと『京あやめ』のご主人の所にも」
「ああ、そうだね」

微笑み合ってからもう一度アルバムをめくり始める。

時間の流れと共に写真は続き、披露宴での指輪の交換のシーンになった。

「この手元のアップの写真もいいですね」
「そうだな。こんなふうに切り取られるのって、なんだか映画のワンシーンみたいだ」

肩を寄せ合って仲良く眺めていたが、次のページをめくった途端、美紅の手がピタリと止まる。

そこには、二人のキスシーンが写っていた。

(あ、やばい)

伊織は身の危険を察知する。
案の定、美紅の顔から笑顔が消えていた。
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