ガラスのピアノは涙にきらめく ~御曹司を誘拐したら冷たく溺愛されました~
「父には詳細を話してある」
つまり、偽装恋人だと知っているということだ。だが、祥介には伝えていない、と。
「わかりました」
長いテーブルの上座に鋼太郎が座っていた。その隣に漣が座る。さらに隣に桜空が座り、祥介は漣の向かいに座った。
「俺を呼んだのはこいつを見せるためか」
祥介が睨むのを、漣はくくっと笑って応じた。
「母は旅行中で不在だ。帰ったら紹介するよ」
はい、と返事をするが内心は心臓が跳ねまわっていた。
「あいつは今度はどこへ行っているんだったかな」
食事をしながら鋼太郎がたずねる。
「フランスですよ。フィギュアスケートを見るとか。そのあとはスイスでスキーです」
「まだフィギュア熱が冷めてないのか」
「アイスショーが見たいからってスケートリンク作ったのが10年前でしたね。クラブも作って選手を育てて楽しんでますよ」
「クラシックにはまったらオーケストラを作り、硝子の楽器を揃えてホールまで作った。お前が生まれたときにはヒトデにはまってたな。お前の名前が海星になりそうだった」
「ヒトデ水族館を作ったら満足して落ち着いたんでしたね」
「金持ちが文化に金を使わなくなったら終わりだ、があいつの持論だからな」
桜空はクラクラした。別世界すぎる。牛乳パック工作のようにスケートリンクの話をされてもついていけない。
「無駄金ばっかり」
祥介が罵る。鋼太郎も漣も答えなかった。舌打ちして彼は桜空にきく。
「どこで知り合ったんだ、お前ら」
「私が働いていたホテルのパーティー会場です。お互いに一目惚れでした」
漣の秘書がスマホで送って来た設定を思い出しながら言う。
「こんな貧相な女のどこがいいんだ」
「お前にはわからないよ」
漣は挑発するように笑った。祥介がムッとする。
ああ、と桜空は悟った。嫌がらせの相手がこの人なのだ。ということは桜空に誘拐を指示した黒幕がこの人。
ナイフとフォークを持つ手が震えて皿に当たり、カチャカチャと鳴った。
「大丈夫か?」
漣が無表情できいてくる。
つまり、偽装恋人だと知っているということだ。だが、祥介には伝えていない、と。
「わかりました」
長いテーブルの上座に鋼太郎が座っていた。その隣に漣が座る。さらに隣に桜空が座り、祥介は漣の向かいに座った。
「俺を呼んだのはこいつを見せるためか」
祥介が睨むのを、漣はくくっと笑って応じた。
「母は旅行中で不在だ。帰ったら紹介するよ」
はい、と返事をするが内心は心臓が跳ねまわっていた。
「あいつは今度はどこへ行っているんだったかな」
食事をしながら鋼太郎がたずねる。
「フランスですよ。フィギュアスケートを見るとか。そのあとはスイスでスキーです」
「まだフィギュア熱が冷めてないのか」
「アイスショーが見たいからってスケートリンク作ったのが10年前でしたね。クラブも作って選手を育てて楽しんでますよ」
「クラシックにはまったらオーケストラを作り、硝子の楽器を揃えてホールまで作った。お前が生まれたときにはヒトデにはまってたな。お前の名前が海星になりそうだった」
「ヒトデ水族館を作ったら満足して落ち着いたんでしたね」
「金持ちが文化に金を使わなくなったら終わりだ、があいつの持論だからな」
桜空はクラクラした。別世界すぎる。牛乳パック工作のようにスケートリンクの話をされてもついていけない。
「無駄金ばっかり」
祥介が罵る。鋼太郎も漣も答えなかった。舌打ちして彼は桜空にきく。
「どこで知り合ったんだ、お前ら」
「私が働いていたホテルのパーティー会場です。お互いに一目惚れでした」
漣の秘書がスマホで送って来た設定を思い出しながら言う。
「こんな貧相な女のどこがいいんだ」
「お前にはわからないよ」
漣は挑発するように笑った。祥介がムッとする。
ああ、と桜空は悟った。嫌がらせの相手がこの人なのだ。ということは桜空に誘拐を指示した黒幕がこの人。
ナイフとフォークを持つ手が震えて皿に当たり、カチャカチャと鳴った。
「大丈夫か?」
漣が無表情できいてくる。