ガラスのピアノは涙にきらめく ~御曹司を誘拐したら冷たく溺愛されました~
「……初めてです」
消え入りそうな声で、桜空は答える。
「うちは父が工場を経営していて、子供のころは一般家庭くらいの生活ができていました。でも収入がきつくなってからは家をずっと手伝っていて、恋なんてする暇なくて……」
桜空は体を小さく丸めた。初めてのキスなのに、好きな人とじゃなかったのが悔しくて悲しかった。警護の人や和志にも見られて恥ずかしくもあった。
「ひどいことしないでください」
「なおさら、したくなるな」
彼は意地悪く微笑する。
「もっと言うなら、俺にはお前の服を脱がせる権利がある。お前が身に付けているものすべて、俺が買ったものだからな」
「そんな」
漣がくくっと笑った。
また遊ばれた。
完全におもちゃ扱いだ。
悟って、桜空は腕を振り上げる。
漣はその手を捕まえた。
「この俺を殴ろうとするとは」
「いくらなんでもひどいわ!」
涙があふれ、ぼろぼろと零れた。
「そうか」
漣はまた、くくっと笑った。
「テーマパークはお気に召さなかったようだな。帰るぞ」
「掃除、しなくちゃ」
掃除道具を借りるべく、桜空は立ち上がる。
「係の仕事を奪うな」
漣はその手を引いて彼女をリムジンに押し込むと自分も乗り込んだ。
溶けたソフトクリームが路面に広がるのを見送り、桜空はうつむいて黙り込んだ。
屋敷に戻ると、漣はすぐ自室にひきこもった。
桜空もいったん部屋に戻ったものの、落ち着かなくて部屋をでた。
邸内を歩くだけで充分な散歩になりそうだった。ガラスのピアノを見られたらいいな、と少しだけ期待した。
消え入りそうな声で、桜空は答える。
「うちは父が工場を経営していて、子供のころは一般家庭くらいの生活ができていました。でも収入がきつくなってからは家をずっと手伝っていて、恋なんてする暇なくて……」
桜空は体を小さく丸めた。初めてのキスなのに、好きな人とじゃなかったのが悔しくて悲しかった。警護の人や和志にも見られて恥ずかしくもあった。
「ひどいことしないでください」
「なおさら、したくなるな」
彼は意地悪く微笑する。
「もっと言うなら、俺にはお前の服を脱がせる権利がある。お前が身に付けているものすべて、俺が買ったものだからな」
「そんな」
漣がくくっと笑った。
また遊ばれた。
完全におもちゃ扱いだ。
悟って、桜空は腕を振り上げる。
漣はその手を捕まえた。
「この俺を殴ろうとするとは」
「いくらなんでもひどいわ!」
涙があふれ、ぼろぼろと零れた。
「そうか」
漣はまた、くくっと笑った。
「テーマパークはお気に召さなかったようだな。帰るぞ」
「掃除、しなくちゃ」
掃除道具を借りるべく、桜空は立ち上がる。
「係の仕事を奪うな」
漣はその手を引いて彼女をリムジンに押し込むと自分も乗り込んだ。
溶けたソフトクリームが路面に広がるのを見送り、桜空はうつむいて黙り込んだ。
屋敷に戻ると、漣はすぐ自室にひきこもった。
桜空もいったん部屋に戻ったものの、落ち着かなくて部屋をでた。
邸内を歩くだけで充分な散歩になりそうだった。ガラスのピアノを見られたらいいな、と少しだけ期待した。