ガラスのピアノは涙にきらめく ~御曹司を誘拐したら冷たく溺愛されました~
「なんでもいいから弾いてみろ」
「でも……」
「ちょっとでも習ったなら、なにかひけるだろう。簡単なものでいい」
うーん、と桜空は考え、指を鍵盤に乗せた。右手だけでチューリップを弾き始める。
それに合わせて、漣が伴奏を付けた。
急に音が豪華になった。
ぎこちなく手を動かす桜空の隣で漣の指がなめらかに滑り、音が重なり合う。余韻を呼ばしたり音を切ったり。強弱が付けられたり分散されたりした和音に、チューリップが可憐に咲き誇った。
「すごい!」
曲が終わると、桜空は興奮して漣に向き直った。
「何も見ずにあんなに弾けるなんて! 天才ピアニストだわ!」
漣は唖然として桜空を見る。こんなことで喜ぶのか、と。
「もっと弾いてみるか?」
「いいの!?」
桜空は顔を輝かせた。
漣が見たことのない輝きだった。
「好きなだけ弾け」
漣は苦笑した。
桜空はピアノに向き直り、わくわくと胸を躍らせる。
「じゃあ、さくらさくらね」
「お前の名前だな」
「そうなの!」
桜空はうれしそうに弾き始めた。
漣はすかさずそれに合わせる。
部屋に満開の桜が広がった。夜空に映えるように華やかに響き、春の穏やかな空気が二人の間に流れる。
弾き終わった桜空は、うっとりと鍵盤を見つめた。
「魔法みたい! 私がうまくなったみたいに思える。本当にすごいわ」
「お前は単純だな」
半ばあきれて、漣が言う。
「だって」
桜空の目に涙がふくらんだ。
「でも……」
「ちょっとでも習ったなら、なにかひけるだろう。簡単なものでいい」
うーん、と桜空は考え、指を鍵盤に乗せた。右手だけでチューリップを弾き始める。
それに合わせて、漣が伴奏を付けた。
急に音が豪華になった。
ぎこちなく手を動かす桜空の隣で漣の指がなめらかに滑り、音が重なり合う。余韻を呼ばしたり音を切ったり。強弱が付けられたり分散されたりした和音に、チューリップが可憐に咲き誇った。
「すごい!」
曲が終わると、桜空は興奮して漣に向き直った。
「何も見ずにあんなに弾けるなんて! 天才ピアニストだわ!」
漣は唖然として桜空を見る。こんなことで喜ぶのか、と。
「もっと弾いてみるか?」
「いいの!?」
桜空は顔を輝かせた。
漣が見たことのない輝きだった。
「好きなだけ弾け」
漣は苦笑した。
桜空はピアノに向き直り、わくわくと胸を躍らせる。
「じゃあ、さくらさくらね」
「お前の名前だな」
「そうなの!」
桜空はうれしそうに弾き始めた。
漣はすかさずそれに合わせる。
部屋に満開の桜が広がった。夜空に映えるように華やかに響き、春の穏やかな空気が二人の間に流れる。
弾き終わった桜空は、うっとりと鍵盤を見つめた。
「魔法みたい! 私がうまくなったみたいに思える。本当にすごいわ」
「お前は単純だな」
半ばあきれて、漣が言う。
「だって」
桜空の目に涙がふくらんだ。