財閥御曹司の独占的な深愛は 〜彼氏に捨てられて貯金をとられて借金まで押し付けられた夜、婚約者に逃げられて未練がましい財閥御曹司と一晩を過ごしたら結婚を申し込まれました〜
「足を広げると3メートルから5メートルくらいになるやつもいるな。最大で9メートルだったか。食用として流通している」
「あれが!?」
「潜水艇の全長が12メートル。からまれたらちょっと厄介だな」
 千遥は震えあがった。ミズダコは悠々と泳ぎ去る。
「あれはクラゲ? 光ってるわ!」
「キタカブトクラゲだね。あっちにはラブカだ。サメの仲間で、生きた化石と呼ばれている。前はこんなに見られなかった。あなたが幸運を連れて来てくれたかな?」
 彼がいたずらっぽく笑う。
「私なんて騙されてばっかりで幸運なんて」
「あ、あれを見て!」
 彼が指を差す。
 そちらを見ると、大きな看板のようなものがあった。
「Please marry me」
 と書かれている。
「なにあれ海中ゴミ?」
 千遥の言葉に、海里はショックを受けた。
「俺が設置したんだ。ゴミ扱いはひどい。ちゃんと今日持って帰るよ」
 ごほん、と彼は咳ばらいをして彼女に跪いた。
 その手を取り、彼女の目を見つめる。
「俺と結婚してください」
「……嫌です」
「なんで即答なんだ」
「……」
 ぼそぼそと、彼女は顔を赤くしてなにかを言った。
「ごめん、聞こえない」
「まだきちんと告白もされてないのに、結婚なんて考えられない!」
 怒ったように、彼女は言う。
 あっけにとられたあと、彼はふわん、と笑った。
「好きです。愛してます」
 彼は千遥の目を見て真っ直ぐに言った。
 千遥は真っ赤になったままうつむく。
「俺のこと、嫌い?」
「……その聞き方、ずるい」
 嫌いじゃない。むしろ好きだ。
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