聖騎士さまに、愛のない婚姻を捧げられています!

 **

 数週間後、王宮では盛大な王妃の夜会が催された。王国の一年を通して一番華やかで賑わう舞踏会で、今回は大きな騒ぎがあった。

 今まで決して表舞台に出なかったグリンデル領の若きデインハルト伯爵が、奥方を伴い出席したのだ。

 それには理由があった。

 夜会に先立ち、国王は特別な祝典を開いたのだ。

 国王が神官との協議の末、長年、公にしてこなかった聖騎士の存在とその功績を皆に知らしめたのだ。

「長年、デインハルト家および聖騎士団は我が領土の民を魔物の脅威から密かに守ってくれた。これからは聖騎士の務めがさらに重要になると神官も諸侯も考えている。そのため、聖騎士団を正式に名誉騎士団とすることにした」

 この宣言の結果、現聖騎士長であるセヴィリス・デインハルトは、国王陛下により初代の名誉騎士長の栄誉を賜ったのだ。

 王妃の夜会に最高の賓客として迎えられたセヴィリスと、妻のリリシア。二人は登場するなり注目の的となった。若い夫妻は慎ましい様子で、王妃の隣で皆からの賛辞を受ける。

 それを遠くからほとんど涙目で睨んでいたのは、ベルリーニ家の姉妹である。

 こんなはずではなかったと二人はわなわなと震え、夫人は気分が悪くなる始末。

 どこからか、リリシアが実家で心ない待遇を受けていたことが出席者の中に流れ伝わっていく。皆が手のひらを返すようにベルリーニ家の人々から少しずつ、少しずつ距離を置き始める。

< 134 / 138 >

この作品をシェア

pagetop