聖騎士さまに、愛のない婚姻を捧げられています!
ダンスが始まって、やがて夫人と姉妹はぽつんと取り残されることになった。
リリシアは思わず彼らのところへ行こうとしたが、セヴィリスに止められた。
「あの方たちは少し、心の痛みというのを知ったほうがいいと思う。それでも貴女が苦しんだ年月は戻ってはこないが。でも、今は放っておくのが一番いいよ」
彼女が戸惑いながらも頷いたとき、王妃がお供の夫人を数人連れて二人の元へやってきた。
リリシアは慌てて腰を落とし頭を下げる。
「デインハルト伯爵、楽しんでいらっしゃる?」
「はい。とても。本当に、このような場にお招きいただき、ありがとうございます」
王妃は高く結い上げた髪にいくつもの真珠や宝石をつけていた。彼女が頭を動かすたびに、シャンデリアの灯りが反射して眩しいくらいだ。彼女はセヴィリスに満足げに頷くと、リリシアに目を移す。リリシアは深くお辞儀をした。
「そうそう。夫から聞きましたわ。あなた、とても珍しいペンダントを持ってらっしゃるそうね。なんでも魔物を倒せるとか……ねえ、今度ぜひ、私の茶会にいらして? 名誉聖騎士長の奥方になったんですもの。皆が貴女とお友達になりたがっているわ。王都に部屋を借りなさいな。それに、旦那様さえよければ、私の側に仕えても良くてよ」
王妃は羽のたっぷりついた扇を片手に優雅に微笑みかけた。
茶会。それも、王妃殿下の。