モブ令嬢へのジョブチェンジは失敗しました

そこに……はあるんか?

6

 僕は亜空間から取り出した房中術の本を開いた。

 房中術の書のくせに、最初にこう記されてあった。

 「この書物を読む者は、極めたい者だと私は考える。しかし、一度立ち止まってみて考えてくれ。
 大切なのは、『ナニがしたい』ではなくて『誰としたい』か。だ。」

 僕はこの「ナニ」という言葉に絶妙にムカついていた。
 また、僕は続きの文章に目を進める。

「嫌よ嫌よも好きのうちとは言うが、本当にそれをパートナーは望んでいるのか、考えてみてほしい。」

 ……そこに、愛はあるんか?

 僕は本を投げ出したくなったが、必死に堪える。

 きっと、ここまで崇高な事を書いてあるのなら、実用的なモノが記されているはずだ。

 苛立ちを我慢して本を読み進める事にした。
 
 目次には「睡姦のススメ」と「処女連続絶頂のススメ」などと記されてある。
 マニアックなものには「前立腺への連続微弱電流刺激による半永久的なドライオーガズム」などもあった。
 
 秘伝の書というよりも、自分の趣味で調べたもののようだった。

「うわ、ガチの変態じゃないか」

 僕はあの露出狂のことを思い出して、吐き捨てるように呟いた。
 あれだけ、崇高な事を書いておいてなんなんだ。

「クリイキのススメ……?」

 ふと、気になるものが目に入る。

 クリとは、クリトリスの略らしく、イザベラの可愛らしい下のお口のところにある一際可愛いお豆の事のようだ。

「ここを重点的に舐めまくると、恋人は大喜びしてラブジュースを撒き散らしてイク……?」

 その文面を読んだだけで、僕はそれをイザベラにしてあげたくなってしまう。

 気がつけば、僕はイザベラの寝室に侵入していた。

 イザベラはすぴすぴと寝息を立てて気持ちよさそうに眠っている。
 なんて事でしょう。呼吸しているだけで可愛い……。
 
 たとえ、屁をこいても鼻をほじっていても、僕はそんなイザベラの姿に胸がキュンとしてしまうだろう。
 漏らしても僕は喜んでシモの世話をしてしまう。

「愛しているよ……」

 僕は、イザベラの耳元で囁くと、口付けをした。そのまま口の中に舌を入れて舐め回して、ついでに顔も舐め回しておいた。
 ……なんか、美味しかった。

「今日は気持ちよくさせてあげるよ」

 僕は、いつものようにイザベラのドロワーズを脱がすと、その可愛らしい下のお口に口付けした。
 考えてみれば、いつも下のお口にディープキスしかしていなかった。

 豆を可愛がればイザベラが悦ぶなら、一晩中舐めまわしてあげたい。
 幸い僕は回復魔法を得意としているので、イザベラの体力の回復魔法と、僕の舌の回復魔法を使える。

「ふふふ、死ぬまでぺろぺろできちゃうな」
 
 イザベラの愛しのお豆にキスをして舌を這わせると、イザベラの身体がぴくりと震えた。

「んっ……」

 今までとは明らかに違う反応に、僕は嬉しくなった。

 豆の皮を剥き芯を扱くように舐めると、イザベラは身体を強張らせて「んっ」と可愛い声をあげてイッてしまった。

 イザベラの下のお口からは、大量のラブジュースが溢れ出て、僕はそれが出て来なくなるまで丁寧に舐めとった。
 
 可愛いイザベラのためだ。
 
 きっと、朝に起きた時にドロワーズが濡れていたら、イザベラは恥ずかしがると思うから。

 僕が初めて射精を覚えた時、イザベラにあんなことやこんなことをする夢を毎晩見ていた。
 その度に、僕は下着を汚して毎朝自分で洗っていたのだ。
 あれの虚しさといったら言葉にできない。
 愛するイザベラにはそんな思いなんてさせたくない。

 僕はなんて優しい恋人なのだろう。
 こんなにもイザベラの事を気遣うことができて、しかも、シモの世話もできてしまうのだから。

「綺麗に舐めとったご褒美に、もう一回お豆を舐めてもいいよね……?」

 僕のおねだりにイザベラは無反応だったが、心の中で「いいよ……」と言っているはずなので、承諾をもらった事にした。

 イザベラのお豆に舌を這わせると、僕は自身に手をかけた。
 僕の息子は、イザベラの下のお口のように濡れていた。
 イザベラの身体に触れながら自慰をしたのは、昨日のことだ。
 僕は三時間おきにイザベラを見て自慰しないと気が狂いそうになる。
 でも、そんな事できないので、僕は常時狂っているのだと思う。

「もう、かなり時間が空いてるから我慢の限界だ」

 僕の息子は爆発寸前だ。
 シコシコと扱きながら、イザベラのお豆を軽く吸い上げると「うっ!くっ!」と、彼女は天使のような呻き声をあげて絶頂を迎えた。
 それと同時に、僕もイッてしまった。

「一緒にイクなんて、僕たちの相性は最高だね」

 僕はうっとりとして、イザベラの下のお口を指で広げて処女膜の存在を確認する。

「この中に入れたら最高なんだけどな」

 つい、不埒な想像をしてしまった。

 初体験は、魔王を倒してからイザベラがちゃんと起きている状態でしないとならない。
 女性と初体験は痛いとよく聞く。イザベラにそんな思いをさせるのは僕は嫌だ。

「たくさん、開発しないとね」

 知らない間に、気持ちよくなる身体になっていたらイザベラも悦ぶはずだ。

「それに、これをイザベラも喜んでくれているし」
 
 溢れ出てきたラブジュースを舐めとると、そのご褒美にお豆を舐めさせてもらう。
 ということを、10回ほど繰り返していたら、ラブジュースをどれだけ舐め取っても、どんどん溢れ出てくるような状態になってしまった。

 結局、僕はイザベラのドロワーズを履かせるのは諦めて元の場所へと戻った。
 ドロワーズは色々な使い道があるので貰っておいた。

「ただいま。話し合いは終わったのか?」

「あ、あぁ」

 テントに戻ると、レオンとマジカがどこかよそよそしくして離れた場所に座っていた。

 何か、嫌な予感がした。

 レオンがフラれたにしては、雰囲気がどこか甘い。

 何よりもマジカの顔がどこか赤く、それは、先ほどまで見ていたイザベラの顔色とどこかにているのだ。

「やったのか?」

「あぁ」

 僕の質問にレオンは、こくりと頷く。

「もう、やめてよ!」

 マジカは、恥ずかしそうに両手で顔を覆った。

 お前、女に適応しすぎだろ。
 僕は眩暈がした。
 僕は精神的にはイザベラと繋がっており非童貞だが、肉体的にはまだ童貞だ。

 恋人すらいないレオンが一足先に童貞を卒業するなど、信じたくなかった。ていうか、許せない。

「兄貴……!俺、やったよ!」

 レオンがキラキラした目を僕に向ける。

「良かったな」

 僕は負けたような気分になっていた。

 だって、僕だってイザベラと繋がりたいのだから。
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