知人の紹介で
 それからの衣月と志信はちゃんとした知り合いになった。頻繁に顔を合わせるというわけではないが、時折一緒に学食で食事をしたり、日常で気になることがあるとそれを互いにメッセージでやり取りしたりしている。

「元宮さん」
「あ、安藤くん。どうぞ」

 定食を乗せたお盆を持った志信が声をかけてきたから、衣月は自分の目の前の席へと促した。志信は「ありがとうございます」と言って、目の前の席へ腰かけるとすぐに定食を食べはじめた。

 衣月も志信も会話もなく黙々と食事をしているが、二人の間ではそれは普通のことだ。何か話すことがあれば話をするし、特になければただ一緒に食事をする。志信とは不思議とその状態が心地よくて、衣月は二人のこの時間を気に入っている。志信からはいつも穏やかな空気が流れていて、彼のそばはとても落ち着くのだ。
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