知人の紹介で
 待っているその間に、純花は一度携帯を確認しておこうとポケットの中へ手を入れた。すぐに触れるだろうと思ったそれは、なかなか触れず、ただ布の感触がするばかりであった。

「あれ? え?」

 反対側のポケットや鞄の中を探してみても見つからない。最後に携帯を触ったのはいつだったかと振り返れば、湊斗の部屋で取りだしたのだと思いだした。どうやら忘れてきてしまったらしい。

「あの、すみません」
「はい?」

 奥にいるであろう湊斗の母に向かって声をかければ、すぐに顔を出してくれた。

「湊斗くんのお部屋に携帯電話を忘れてしまったみたいで」
「あら、それならどうぞ上がってください」

 許可をもらったところで、純花はもう一度上がらせてもらい、湊斗の部屋の前へとやってきた。

「湊斗くん。ごめん、忘れ物したから開けてくれるかな?」

 ノックをして呼びかけるが返事がない。

「湊斗くん?」

 もう一度呼びかけ、今度は強めにノックをしたら、思ったよりも勢いよくそのドアが開かれた。

「母さん、何? ……っ!」

 湊斗は一瞬驚いた表情を見せたあと、勢いよくドアを閉めてしまった。
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